シフテクト株式会社の設立と特許出願を終えた後、shiftect.の開発を担うパートナーの選定を始めた。
約20社に問い合わせた。
特許事務所探しと同じパターンが、開発会社との交渉でも繰り返された。

難航した理由は技術の難しさではなかった。
問い合わせの段階で、shiftect.が「数理的処理を含むシステム」であることを伝えると、ほぼ例外なく「ソルバー案件」として受け取られた。
数理的処理=ソルバーという先入観が、最初の接触で機能してしまうのだ。

ソルバー案件と認識されると、何が起きるか。
ベンダー側にとってソルバーは研究領域だ。
研究領域になると「見積もりが出せない」という判断になる。
「まずは要件定義から、請負ではなくタイム&マテリアルで」という提案になる。
これは開発の着地点が見えないということを意味する。

なぜそうなるのか。
shiftect.の制御構造は、発明提案書から始まり、特許出願の明細書、制約一覧、機能一覧、データモデル定義まで詳細に言語化されていた。
読めば、これがソルバーを開発する案件ではなく、業務の状態に応じて最適化処理への入力構成を切り替える制御構造を実装する案件だということがわかる。
しかし多くのベンダーは「数理的処理」という言葉の時点で読むのをやめていた可能性がある。

特許事務所探しで20を超える事務所に断られた構造と、本質的に同じことが起きていた。
理解の枠組みが合っていない相手にいくら説明しても、議論に入る前に終わる。
shiftect.の開発パートナー選定は、理解の枠組みが合う相手を見つける作業でもあった。