shiftect.の制御構造を特許という手段で守ることにしたのは、この技術が特定の業界に限定されない汎用的な構造だという判断があったからだ。

 

個別指導塾の時間割作成から出発した構想だったが、言語化の過程で見えてきたのは、業務の状態に応じて最適化処理への入力構成を切り替えるという制御の構造は、施設介護のシフト作成にも、訪問介護の訪問スケジュール作成にも、物流の配車計画にも、同じ原理で適用できるということだった。

 

shiftect.が自動化しようとしているのは特定業界の特定業務ではなく、スケジューリングという問題の構造そのものだった。

汎用的な制御構造であるということは、模倣のリスクが高いということでもある。

 

業界を限定せずに展開できる技術は、それだけ他者が同じ構造に到達する可能性がある。

先行して出願しておかなければ、shiftect.が作ろうとしている構造を別の誰かが出願するリスクがあった。

 

特許という手段を選んだもう一つの理由は、OEM提供という事業モデルとの整合性だった。

shiftect.は個別指導塾や介護施設に直接販売するだけでなく、フランチャイズ本部や介護チェーン本部にAPI経由でスケジューリング機能を提供するという展開を当初から想定していた。

そのモデルで事業を進めるためには、技術の核心部分に対する権利の所在を明確にしておく必要があった。

 

権利化の可否と範囲が確定していなければ、OEM提供の交渉テーブルに着く前に足元を崩される可能性があった。

特許出願は防衛の手段だが、同時にshiftect.の制御構造が既存技術と異なるという事実を第三者機関に問う行為でもある。

 

「そういうシステムはもう世の中にある」と言われ続けた時期を経て、特許という形で問いを立てることができる段階まで来たということは、shiftect.の開発経緯において一つの確認だった。