特許事務所を探し始めて最初に直面したのは、IT分野の特許出願数の多さだった。
特許庁のデータによれば、ソフトウェア関連特許の出願数は年間数万件に上る。 スケジューリング、最適化、配置計算という技術領域だけでも、膨大な先行技術が存在する。 特許出願において「新しい」と認められるためには、これら全ての先行技術と比較して、自らの発明が新規性と進歩性を持つことを示さなければならない。
先行技術との戦いとは何か。
特許審査では、審査官が先行技術を調査し、出願された発明が既知の技術の組み合わせで実現できるものでないかを検討する。
スケジューリングの最適化という技術領域は、工場の生産計画、物流の配送計画、航空機の運行管理など、数十年にわたる研究と出願の積み重ねがある。
「複数の制約条件の下でリソースを最適配分する」という問題設定自体は、先行技術として広く知られている。
shiftect.の出願において差別化の核心となったのは、「与えられた条件で計算する」という従来技術に対して、「業務の局面に応じて問題の構造そのものを動的に制御する」という点だ。
状態情報に基づいて最適化処理の入力構成を自動的に決定するという制御構造は、先行技術として存在しないという判断が、出願の前提になった。
しかしこの差異を特許事務所に説明することが、想定以上に困難だった。
「スケジューリングの最適化」という言葉だけでは、先行技術と区別できない。
shiftect.の新しさは「何を最適化するか」ではなく「どのように問題の構造を制御するか」にある。
この違いを正確に理解してくれる特許事務所を見つけることが、次の課題になった。