2016年から、毎月時間割を手で組み続けた。
使っていたのはSaaSと呼ばれる管理システムだ。
生徒情報、講師情報、教室情報を登録し、時間割のマス目に生徒や講師をドラッグして配置する。
見た目は整っている。
しかし「どの生徒とどの講師を組み合わせるか」という判断は、すべて自分の頭の中だ。
管理者は1コマを置くたびに、複数の条件を同時に判断している。
この生徒が来られる時間か。
その時間に出勤している講師か。
その講師が教えられる科目か。
同席させてよい生徒の組み合わせか。
席数・部屋数は足りているか。
契約内容の受講数・科目と一致しているか。
これを1コマずつ繰り返す。
自社データ換算で生徒70名・講師30名・平均受講数10コマで、毎月1,800コマ分の判断が発生していた。
限界を感じ始めたのは、規模が大きくなった時点だ。
生徒20名・講師5名(20×5=100通り)の頃はまだ対処できた。
生徒50名・講師20名(50×20=1,000通り)になると、組み合わせのパターンは単純計算で10倍になる。
しかしそれ以上に、条件の複雑さが跳ね上がる。
兄弟を同じ曜日にそろえたい、この生徒とこの講師は相性が悪い、小学生は早めの時間帯に寄せたい、講師の連続勤務は避けたい。 こうした条件が増えるほど、1コマを置くたびに考慮すべき要素が増えていく。
これはパズルではない。 パズルには解が一つある。
時間割作成は、無数の制約条件が絡み合う中で、最もバランスのよい組み合わせを探す問題だ。
そしてその問題は、毎月繰り返し発生し続ける。
10年間、この作業を続けながら感じていた問いがある。
この判断は、本当に人間がやらなければならないのか。