2023年、私がAIに可能性を感じ始めたのはマーケティングの文脈だった。

 

関係会社が運営する個別指導塾の集客や認知拡大をどう効率化するかという問題意識があった。広告・人材・メディアと複数の業界を経験してきた立場から、マーケティングにかかるコストと手間を構造的に変えられないかと考えていた。その文脈でAIの活用を検討し始めたのが出発点だ。

 

最初の期待は大きかった。

文章生成、画像生成、データ分析。次々と登場するツールを試しながら、「これは使える」という感覚が先行していた。

マーケティングの多くの作業がAIで代替できるのではないか。

そういう期待のもとで、AIと向き合う時間を増やしていった。

 

しかし使えば使うほど、見えてくるものが変わっていった。

AIが得意なことと苦手なことの輪郭が、実際に使う中で少しずつ明確になっていった。

「すでに答えが存在する問題を高速に処理する」ことと、「複数の制約条件の中で最適な組み合わせを見つける」ことは、性質が根本的に異なる。最初はその違いが見えていなかった。

 

この理解の深化が、その後の方向性を決定的に変えた。

AIへの期待が「何でもできる」から「何が得意で何が苦手か」へと変わるにつれ、「AIの得意領域と人間の得意領域を構造で分ける」という問いが自分の中で立ち上がってきた。

2023年の時点では、まだshiftect.という構想は存在していない。

しかしこの年に積み上げたAIへの理解が、その後の判断の土台になっていく。