スタジオシフト深澤竜也です。

デザインインテリジェンス(^○^)その6


今日は印刷物から看板までの文字の大きさについてお話しします。


皆さん、パソコンで文字を打っていると、文字大きさの基準に、「pt」とか言う言葉をよく見かけると思います。

昔からデザインや印刷に携わっている方には、「級」も聞き慣れている言葉です。

「級」とは、写真植字における文字の大きさを表す日本独自の単位です。

1級は0.25mm、1ミリの1/4(= Quarter)から名付けられたもので、略して「Q」と書かれます。

現在、文字はデジタル化され、光学的な写植を使用することはほとんどありませんけど。


「ポイント」も文字の大きさを表す単位の一つです。

「ポ」や「P」「pt」と略されます。

活版印刷時代から使われている単位ですが、採用される地域やシステムによって、規格のサイズが異なります。


例えば、アメリカのポイントは1pt= 0.3514mmで、

ヨーロッパのポイントは、1pt= 0.3579mmとなります。

日本では、JIS規格によって、アメリカのポイントが採用されていますが、

私達が通常使うDTPでは、通常1pt= 0.3528mmとして扱われます。





雑誌などの本文なら、9~10級(6~7pt)以上、できれば11級~12級(8~9pt)が目安になると思います。

電車の中吊りやポスター 、少々距離を置いて見る物では24~32級(17~23pt)以上にする必要があるかもしれません。

チラシなどの地図の中に書かれる文字でも、最低4~5級(3pt程度)は確保したいところです。

それ以下のサイズになると印刷物では文字がつぶれてしまうこともありますので、要注意です。


新聞の活字のサイズは6~8ptでしたが、高齢者社会を迎えるため、活字サイズを大きくする新聞社が増えてきました。

新しい新聞の文字は、縦が8.6pt横10.8ptとなり、老眼鏡なしでも読みやすい文字のサイズとなってきています。


さて屋外広告(看板)です。

屋外広告にとって文字の大きさは、とても重要です。

何が書いてあるか分からなければ意味がありません。

屋外広告は...いや、雑誌でも新聞でもテレビでも全ての表示に言えるものですが、それを視認する距離と文字の大きさが相対します。

それには制限があります。

すべてを見せたくてもスペースや時間という枠があります。

だから、この表示物ではどこまでを見せるのかを決めることが大切です。

屋外広告は、電車や自動車での一瞬の視認による広告です。

あれも入れたいこれも入れたいとなりますが、設置してみると字が小さ過ぎたり、

情報量が多すぎたりということがあります。


デザイン面に書かれる文字の大きさには、次のような式が使われます。

文字高(cm) × 250 = 視認距離(cm)

これはあくまでも目安ですけどね。

例として片側2車線の交差点に看板を設置した場合。




停車線の車までの距離はおよそ50m(5000cm)

5000cm ÷ 250 = 20cm

一文字の大きさはおよそ20センチ役570ptくらいが最適になります。

そうすると文字数を入れるためには「看板の面積も大きくしたい」とか、目を魅くように「目立つ色で」という要望が、多くのクライアントから寄せられます。


しかし、京都での行政での屋外広告物撤去の事例などでも解るように、景観法→屋外広告物規制が厳しくなってきています。


私は、山梨県の屋外広告審議委員を過去に2期6年間勤め、山梨県屋外広告条例の作成にも多少ですが携わりました。

県では規制が緩い地域から厳しい地域に5段階に分けています。



*出典 「山梨県屋外広告条例」

商店街等の商業地域と、富士山周辺などの景観地域で同じ規制を設けるわけにはいきませんからね。

看板設置に関しては、その大きさや色、LEDなどだけでなく、

その素材や内容も、自分達だけの判断ではなく、

行政や看板組合、地域の皆様との話し合いが、今後はさらに重要となってきます。


おっと、最後は話しがズレてしまいましたm(_ _)m