何ヶ月ぶりの更新になるかわかりませんが、こんにちわ
毎年この時期は合唱コンクールなんですよ。本番は来週の水曜日なんですけどね、編成されたばかりのクラスで最初に潜り抜けなければいけない難関というのでしょうか
今年こそは指揮者のポストを、とずっと願ってきましたが、なれましたよ指揮者。
でも簡単な仕事ではありませんでしたね、とくに学校の合唱コンクールとなると歌が苦手なだけでなく全く興味がない人もいっぱいいますから。
残念ながら私のクラスは他のクラスに比べて音楽が嫌いというか、興味がない人が多い、というかほとんどだと思います。
とは言え本番間近なので今更いろいろ考えることもありません。
結果よりも指揮者としてどのような姿勢を貫くかということを大切にしたいと思ってます。
ですから今日は、現時点での私の指揮をすることに対する心構え、並びに今回歌う楽曲の解釈や演奏法についても少し触れて、ある種の記録のような記事を書きたいと思います。
あくまで自省録なのでそこんとこよろしくお願いします(笑)
指揮者の仕事というと、まず頭に浮かぶのは棒を振って拍を取ることでしょう。
1,2,3,4,1,2,....と4拍子を取る光景は誰もが一度はどこかで見たことがあるのではないでしょうか。
しかし、私はこの1,2,3,4としっかりと拍を取ることが全てだと考えること自体がまず間違いだと考えてます。
もちろん基本的に拍は取ります。しかし、誰でも好きな曲を1つ思い浮かべてみればわかると思うのですが曲は1小節をいくつかの拍にわけたものではなく、いくつかの小節で一つのまとまり、そしてそのまとまりが更に大きなまとまりの要素の一つと捉えられ、しまいには曲全体の輪郭が見えてくることでしょう。
すなわち何が言いたいかというと、私が考える指揮を取るということの本当の意義は、1拍1
拍数えて演奏を揃えることではなく、もっと大きなまとまりで曲の構成を捉え、演奏者に示す。
演奏で精一杯な演奏者にもっと遠い視点から楽曲の構成を捉えたものを示し演奏を構成していき、曲の輪郭を明確にしていくことが指揮を取ることの本当の意義だと考えています。
もっと噛み砕いで説明しますと、きっちり揃った完璧な演奏は一見美しく華麗に聴こえますが、それが全てではないと言いたいのです。
(この辺、合唱とオーケストラではわけが違ってくる点もありますがだいたい同じようなものとして考えます。)
むしろリズムが一切狂わず完璧に音程を揃えた演奏は、ある意味冷徹で、機械的で、聴いてて寂しくなることがあります。
ちなみにそのような演奏のことを芸術性に乏しいと表現する人がいるのですが、私はそれはそれでまたひとつの芸術だと思ってるので、真っ向から批判するつもりはありません。
ですから、時と場合によりますが、私が指揮をするときはあまり明確に力点を定めないことが多いです。
具体例を上げると、2拍数えるところを1,2と数えて振るのではなく2拍で丸などの図形を一つ描いたり、テンポよくリズムを取るときも指揮棒が力点に到達した瞬間に少し跳ね上げることでわずかに震えさせたりなどしています。
もちろん時と場合によりますから、拍を明確にするときもあります。
この力点を定めない指揮には、クラスメートは最初戸惑いました。しかし話をしたらみんなそれなりに理解を示してくれたので、普通に演奏するよりも重厚な音が出るようになった場面もありました。
ではどのようにクラスメートを説得したのかというと、
「指揮者がテンポを露骨に与えるのではなく、演奏者が指揮のなかに拍を見つけ出すことが重要なのだ。そうすることでより重厚なアインザッツを再現できる。」
といった内容のことを伝えただけでした。
今回私のクラスは「紀の国」という合唱曲をやるのでそれを例に少し説明したいと思います。
まずは私の考える曲の大まかな構成を説明しましょう。
紀の国よ はや港に着きたり 船のおじ かたみによびかけ
導入の部分です。起承転結でいう「起」ですね。ちなみに舞台は紀の国ですから和歌山県です。
最初にバスが歌い、バリトンが入り、そしてセカンドとトップが駆けつけ、最後は全パートで導入を締めていくのですが...
この場面は船にのって港が見えてくる、そして到着という場面でしょうか。音楽の先生曰く楽譜をよく見ると遠近法が使われてるようです。すなわち港が近づいてくる様子が再現されてるようです。12小節目まではモノフォニー調に奏でられますが13小節で4つのパートが和音を歌い上げます。この和音が立体感を出すため、港について景色が広がった場面を想像するとよいらしいです。
最初のバスだけのフレーズはやはりまだ港からは遠く、船に乗ってる状態でしょうから紀の国の景色よりも海の青さ、深さを出したほうがいいと考えました。
そこで最初の2拍取るソの音に重点を置きました。この音をいかに深く掘り下げることでその後の音も深みを増すことができると考えました。
つまり2拍伸ばす音を単に伸ばすのではなく下方向に掘り下げる必要があるのです。そこで肝心の1拍目は等速に振り下ろししかし力点の直前で減速することで音に緊張感を持たせ重厚な始まり方になりました。
ほんのさわりの部分の解釈の説明だけでこんなに文章が必要なので他は省略します(汗)
いい加減文章が長くない過ぎてきてしまったのでこのへんで終わりにして続きはまた今度、本番が終わったあとにでも書きたいと思います。