今日の中日新聞のスポーツ欄でこんな記事を見つけました。








日本がネパールに勝ち、クウェートがイラクに勝ち3チームが勝ち点で並んだ場合、日本は無条件で決勝トーナメントに進める(数学ではこれを「日本がネパールに勝つことは、日本が決勝トーナメントに進めるための十分条件」といいます)のですが、こんな風に書いてありました。


(以下、中日新聞引用)

日本は、クウェート、イラクとの2試合を終え、得失点差がプラス1。一方、日本戦での得失点差はクウェートがマイナス3、イラクがプラス2のため、第3戦で直接対戦する両チームがともに日本のプラス1を上回る可能性はない。



いやぁ、一言で言うと、



この説明は数学的にムダが多い



です(合っているか間違っているかで言うともちろんあっているのですが)。


この場合、赤で書いた部分の情報(日本対クウェート、日本対イラクの得失点差)は不要なんですよ。


では、解説してみましょう。



得失点差は必ずゼロサムです。

つまり、当該チーム間での得失点差の合計は必ず0になります。


※例えばこの写真にもあるように4チーム間の得失点差の合計は

    6+1+2+(-9)=0

数学では合計が0になるゲームをゼロサムゲームと呼びます。


今回は当該チームの得失点差なので、日本、イラク、クウェートで考えます。

この3チームの間では、日本の得失点差は+1です。イラクの得失点差をa、クゥエートの得失点差をbとおきます。



ゼロサムですから、



1+a+b=0  …①



これより、a,bのうち少なくとも一方は0以下になります。


(証明)

背理法で示す。


a,bの両方が正と仮定すると(つまり、a>0、b>0と仮定すると)、


a+b>0


となり、a+b=-1(①に)に矛盾。


よって、a,bのうち少なくとも一方は0以下(証明終)



というわけで、日本は得失点差において、3位になることがないので決勝トーナメントにすすめるわけです。


ちなみに、a+b+c=0のとき、a,b,cの少なくとも一つが0以下かつ少なくとも一つが0以上であることは、入試の数学の問題を解く際には出てきます。



下は京大の問題ですが、上の事実を使うと、絶対値が場合分けなしに二つ外れるので瞬殺できます。






では、また(笑)。