四柱推命 空亡の作用について | 四柱推命を理解する

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空亡について

 

 

ときどき空亡についての質問をもらうことがあるので、自分なりの回答を示しておきたいと思います。

 

 

四柱推命では”空亡”と呼ばれる期間があります。

 

他の占術で”天冲殺”と呼ばれるものや、細木数子さんの六星占術で”大殺界”と呼ばれるものもありますが、これら3つは言葉が違うだけで、実はその示す期間というのは同じなんです。

 

 

 

占い師であれば空亡の出し方も知っていると思いますが、一般の人でもこういう早見表を見れば自分が何空亡か一発で分かるようになっています。

 

空亡は”むなしく亡ぶ”と書き、意味合い的にもその期間中は何をしてもうまくいかない不吉な時期だと言われていますね。

 

 

ずいぶんと昔のことですが、この空亡を天冲殺と呼んで日本中で一大ブームになったことがあったそうです。

和泉宗章さんという占い師さんが、テレビに出て”プロ野球の長嶋監督は天冲殺の時期なので巨人は勝てないだろう”という趣旨のことを発言したそうで、これが発端となって天冲殺ブームが巻き起こったのだそうです。

 

 

このブーム、とても広まってしまったそうで、中には「自分は天冲殺の時期だから何をやっても上手くいかないのだろう」とか、「天冲殺で両親や身内に迷惑はかけられない」と嘆いて自殺された方もいたというのだから恐ろしいものです。

さてそんな天冲殺ですが、ことの発端となった和泉宗章さん自身はその後、天冲殺が外れるなどして占い師を廃業してしまいます。

天冲殺はなかった、騙して申し訳ない。というようなこと述べたらしいのですが、そんなもんで身内を亡くされた人にとってはたまったもんじゃなかったでしょうね。

 

まあ、和泉さんも自身が天冲殺を開発したわけではないので、この人自身も自分の過ちに苦しんだのではないでしょうか。

 

 

 

 

そんなこんながあってから、今度は細木数子さんという占い師さんが登場して”大殺界”だと言い出します。

大殺界も天冲殺同様、凶作用がある不吉な時期とされていますが、細木さんは大殺界の時にやってはならないこととして”自殺”を挙げていたそうです。

 

これはおそらく天冲殺のときの過ちから学んだ教訓が生かされているんでしょうね。

 

あんなに「地獄に落ちるわよ」とか言ってた人でも、自分のせいで亡くなられてしまうのは困りますからね。

で、さてこの天冲殺と大殺界ですが、もともとは四柱推命でも使われる”干支暦”と呼ばれる、古くからある暦が元になっています。

 

ですが四柱推命の占い師全員が全員空亡を見るわけではありません。

 

 

 

そもそも、四柱推命って一言で言っても占いの結果って実は占い師によって全然違う鑑定結果が伝えられることがある占術です。

 

そんな無責任な占いがあるのかと思われるかもしれませんが、これが四柱推命の現状です。

 

 

なぜそんなことが起きてしまうのかと言うと、そもそもは四柱推命の理論の元となっている古典原書に問題があります。

四柱推命の原書とされる書物はいくつかあるのですが、最も古いもので今から1000年くらい前に書かれたもの、新しい原書では清代になってから書かれたものもあります。

 

 

原書というのは言わば四柱推命の読み解き方の教科書となる書物ですが、ここで問題になってくるのは、その原書と原書のあいだには、相互に共通の解釈がなされているわけではなく、根本的な理論からして全然違うものが書かれていたりするんです。

そもそも原書がいくつもあるというのは、「前にあの人はああ言っていたけど、あれだと間違ってるから私が全然違う理論で組み立てた四柱推命について書くね」という感じで、それ以前に書かれたものに間違いがあるから新しい原書が登場してくるわけで、もし最初に書かれたものが時代が移り変わっても正しい内容だとみんなが思っていたら新しい原書が書かれる必要がないわけです。

 

四柱推命というのはこのように変わった占術で、四柱推命がこの世に産声をあげてから、時代の流れの中でどんどんその見方が変化していった占術なんです。

 

 

昔の中国の天才と言われるような官僚たちによって、常に最新の読み解き方にアップデートされてきたんですね。

そんな四柱推命の原書ですが、最終的には現在は三大原書と呼ばれる、とある3つの原書が最も重要だという認識でみなさん概ね共通しています。

 

・子平真詮

・窮通宝鑑

・滴天髄

 

 

この3タイトルです。

とりわけ滴天髄に関しては最高原書と言われて三大原書の中でも頭ひとつ抜けた存在です。

 

 

原文は短く簡潔な漢文で表され、詩的な情緒も感じられる文体ですが、あまりにも簡潔に過ぎ、文体の雰囲気は美しいものの文字を追っただけでは意味がわからないところが多過ぎて、非常に難解な書となっています。

 

そのため、中国大陸において古くから多くの推命家が「私ならこう解釈します」という感じで、独自の滴天髄が発表されています。

 

日本国内においても、阿部泰山の滴天髄に始まり、今日までさまざまな流派の師範とされる先生が自分の流派の見方によって多種多様に滴天髄を読み解いています。

 

このように滴天髄の1冊を取ってもその解釈が異なるものなのに、別の原書同士で理論が噛み合うわけがないんですね。

ただここで言わなければならないことは、そんな滴天髄には1箇所も”空亡”について触れられている部分はないということです。

完全にガン無視です。

 

 

しかもこれは滴天髄に限った話ではなく、三大原書の残り2つの書においても同様で、全く空亡論については述べられていないんです。

じゃあいつ誰が四柱推命の空亡に意味を持たせて、良くない時期だって言い出したのかというと、確かに大昔の四柱推命が誕生したばかりの頃の古典原書では空亡について書かれているんです。

 

だけど、さっきも言いましたけど、四柱推命は時代の流れで多くの政治家の手によって研究と是正が行われ進化してきた占術です。

 

いくら大昔の書に書かれていたからと言っても、実際に使ってみて使えない理論は排除されてきたんです。

 

その一つが空亡だということです。

 

 

 

それに滴天髄や窮通宝鑑の見方で見る際に、その中に空亡を混ぜることもできないんです。

 

そもそもの命式の見方の基本的な部分から異なる見方をしているので、全部混ぜ合わせて良いように解釈っていうことができず、もし空亡を採用するのであれば滴天髄の理論は使用できないということになります。

 

 

おそらく空亡を用いている占い師さんはそういうことも知らないんじゃないかな?と思うんですが、一応そういったわけで空亡を取る必要はないというのが私の意見です。

 

 

 

 

空亡だからといって、静かにしてじっとその期間が過ぎ去るのを待っている人と、自分が空亡だとは知らずに頑張って、自分の方向性に合った努力を続ける事ができた人では、どちらの人生が充実するでしょうか。

そう考えると却ってそんなもん知らずに、例えば空亡の時期に進学した人、空亡の時期に就職した人の方が運勢良くなっていくと思います。

 

空亡だから進学を諦めるとか、空亡だから就職せずにフリーターでいるって選択をするっていう人がいるんなら、その人は空亡によって運勢が悪いんじゃなくて、空亡なんてものに拘泥するから運勢が悪いのではないでしょうか?

 

 

古典原書がアップデートされるにつれ淘汰された”空亡”なる事象に、今更怯える必要はないですよね。

 

 

 

占いを、怯えて構えるためのツールとするのではなく、自分を知ってより良い人生を形成するために使ってほしいものですね。