たまにはドラマの話を書こうかな、と思う鹿吉です。
こんばんは!
本日はサスペンスとしてもヒューマンドラマとしても見応えのあるイギリスのドラマ「埋もれる殺意」シリーズのはじまり「39年目の真実」の話を書きたいと思います。
取り壊される建物の地下から埋められた白骨死体が発見されたところから話ははじまります。
建物の名前は「アーリンガム・ハウス」
かつて破天荒な若者たちで溢れ返るユースホステルのような場所でございました。
地下から見つかった白骨はコンクリートで固められた床下から見つかっており、当初アーリンガム・ハウスが建てられた際に埋められたと判断されたことで130年以上前の遺体ではないかと推測されました。また事件なのか事故なのか、それすらも判明していない現場でございましたが、担当刑事が事件として現場保存をするように指示を出します。
実際、調べていけば頭蓋骨に陥没骨折のあとが見られ、鈍器による撲殺が濃厚となりました。
殺人となれば調べないわけにはいきませんが、130年も経っていたら事実関係を調べるだけでも大変でございます。そしてその結果犯人がわかったとしてもすでにこの世にはいないでしょう。
時間と労力と資金の無駄だ、と誰もが思う中、担当刑事であるキャシーは迷いながらも捜査を進めました。その行動の裏には身元不明のままの白骨死体にも家族があっただろう、という優しい想い。母の想いでございました。
せめて身元がわかれば、家族と同じ墓には埋葬できるのではないか、と考えたのかもしれません。
調べていくうちに大腿骨付近から車のカギが見つかりました。
さらにその車が使用されていたのが1976年付近だったと判明したのでございます。
車の登録から遺体の身元が割れました。失踪当時17歳の黒人青年で、リバプールからロンドンへと出てきたジミー・サリヴァンでございました。
ジミーが乗っていた車を捜索し、そこから彼の日記帳を発見します。
そしてそこへ書かれていた数々の名前から容疑者を絞っていくのでございます。
容疑者と目された人物は4人。
それぞれが問題や悩みを抱えながらも幸せな家庭を築いておりました。
ひとりは牧師として教会を盛り立て、素晴らしい妻と美しい娘2人との穏やかな生活を営んでおりました。ひとりの娘は結婚を控え、もうひとりの娘は出産を控えているという慶事にも恵まれて…(ロバート・グリーヴス・牧師)
ひとりはかつての事故で車いす生活を余儀なくされた身ではありましたが、愛情深い妻とふたりの息子を授かり、会計士としての人生を歩んでおりました。すでに息子二人は独立し、妻に認知症の症状が出てはおりますが、結婚45周年パーティを開くなど、平凡ながら幸せな日々を送っておりました。(エリック・スレイター・会計士、かつてはアーリンガム・ハウスでの勤務経験あり)
ひとりは人種差別運動に加担し、暴力的な日常を送っていた女性でしたが、39年経った今は愛し愛される夫と出会い、サッカーチームの子供たちを慈しむ日々を送っておりました。(リジー・ウィルトン・黒人を夫にもつ主婦)
ひとりは地位と名誉を得て、弁護士となった娘と実業家の息子と美しい妻を持つ、まさに成功者そのものの実業家になっておりました。仕事で成功をおさめ、サーという称号まで得た彼は満を持して政界へと羽ばたく直前でございました。(フィリップ・クロス・かつてマフィアの元で取り立てをしていた経験あり)
それがたったひとつの白骨死体の発見によって、ガラガラと音を立てて崩れていくのでございます。過去が現在の彼らを脅かし、積み重ねてきた礎をいとも簡単に瓦解させたのでございます。
派手なアクションも流血シーンもなく淡々と、そして暗いトーンで進んでいくドラマの中、唯一光輝くようなシーンがございました。
それはキャシーの息子の登場シーンにございます。
キャシーの息子は現在ニューヨークの大学に通う大学生。
事件とは関係なく、キャシーの家にも暗雲が垂れ込める過去が押し寄せておりましたが、彼の登場で見事に広がる暗雲を祓い清めておりました。
笑顔が魅力的な彼は軽い口調で友人の話を楽し気にします。
それだけでも心が洗われる気分なのですが、その内容がもう最高!!!
是非一緒に笑ってください。
キャシーの息子アダムにはベルタという名の友人がおります。
ギリシャにいる友人(ナイジ)の兄弟がやっているバーを週に3回ほど手伝えば泊まらせてくれるから、とギリシャに行こうかと思っていると話すアダム。
けれどもベルタの歯を治すまではギリシャには行けないかな、と続けます。
「あいつさ、彼女を怒らせて卓球のラケットで顔面を往復ビンタされてさ!」
どんな悪さして怒らせたら卓球のラケットで顔面往復ビンタされるの~ッ????!!!!
その彼女、強すぎませんか?????
後先考えられなくなるくらい怒ったのかしら?????
笑う前に驚く私。
けれどもドラマは当然ながら待ったなしに流れていきます。
「あいつ、インプラントにするって言うんだけど」
インプラント??????
ラケットで往復ビンタされてインプラントにしなきゃあならないくらいのダメージを口腔内に食らったわけですか?????!!!!!
「インプラントにするならインドでやれってナイジに言われてるんだって」
インドで…ほう、インドの歯科診療は進んでいるんですね~
「親父さんが8本もインプラントにしたんだけどインドだと格安で入れられたんだって」
8本、インプラント!!!!!
それはまた随分と歯がなかったんですね、その親父様。
義歯を入れるよりはインプラントにしてブリッジでも入れれば確かに嚙む力も充分でしょうから、それは良かったですね~
しかもインドは格安で入るんだ~、へぇ。
「口が閉まらないらしいんだけど、親父さん、もともとうまく閉まらなかったから本質は変わらないって」
口が閉まらない?????
いや、それ、大問題~ッ!!!!!!!!
あっさりさっぱり笑い話のような世間話のような様子で話し、このあと焼いているベーコンに添えるのは揚げパンにする?なんて続けちゃうくらいの軽いアダムくん。
もともと義歯を入れていて閉まらなかったなら義歯も合ってなかった、ってことで、インプラントにして改善するならまだしも…
しかもそれを気にする様子もなく「格安で良かったからおススメだよ~」と言えてしまうおおらかさ……
神経質な私には驚きしかございません!!!!!
このシーンには大爆笑させていただきました~♪
とんでも話だったのにドラマの重さから思わずほっこりシーンだなと数分もないシーンに心癒された私は今日も元気に焼いております。
ヴィクトリアサンドイッチケーキにございます。
シンプルな材料から作られたとは思えないほどに複雑な味わいと香りが楽しめる焼菓子にございます。サンドされているのはラズベリージャム。
ほどよい酸味と優しい生地の甘味がバランスのいい一品にございます。
是非一度ご賞味くださいませ~
もちろん無添加にございます。
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ちなみに「埋もれる殺意 39年目の真実」のネタバレをここでさせていただきます。
今から観ようかな~という方は読まれないことをおススメいたします。
犯人はエリック・スレイターの妻、クレアでございました。
動機は嫉妬。
衝動的なものでもございます。もともと精神を病んでいたことも原因のひとつかもしれません。
エリック・スレイターは妻クレアを愛しながらも性的欲求を募らせる相手は男性でございました。当時、同性間のセックスは違法という時代にございます。
それでも突き上げる欲求に耐え切れず、エリックは男娼を買っては欲求を満たしておりました。
結婚をして妻を愛し、ふたりの息子に恵まれながらも欲するのは男性との行為。
エリックはこっそりとアーリンガム・ハウスの地下にて、なんとしてもお金を稼ぎたかったジミーを買い、行為に耽っておりました。
そこを妻のクレアが目撃し、金槌でジミーを撲殺してしまうのでございます。
妻のため、そして自分のためにもジミーの遺体を地下のコンクリートを剥がして埋めるエリック。証拠隠滅をはかり、暫くは男遊びも控えます。けれどもやはり湧きあがる衝動に負けて、エリックはまたニコラスという看護師見習の男性と行為に及んでしまいました。
そして運悪く、クレアに見つかり、またもや衝動的にクレアはニコラスを殺してしまいます。
エリックは仕方なく、庭へニコラスの遺体を埋めました。
これが事件の真相だったのでございます。
さて容疑者と目された他の3人の相関図としては
ジミーには愛した女性がおりました。
ジョジョと呼ばれたその女性は当時15歳。
本気で愛しておりましたが、実はジョジョはロバート牧師と不倫関係にあるという過去がございました。そしてロバート牧師の子供を身籠っていたのでございます。
堕胎のための費用が必要だと言われたジミーは自分の子だと信じてマフィアから50ポンドの借金をします。
そのマフィアに所属して借金の取り立てを乱暴な拷問紛いの方法で行っていたのが富と名声を手に入れていたフィリップでございました。
ジミーは手にした50ポンドをジョジョに渡す前にリジーに盗まれてしまいます。
マフィアに返す50ポンドにプラスしてジョジョの堕胎代50ポンドまで必要になってしまい、ジミーは男娼として身体を売ることになりました。
そして無残にも殺されてしまうのでございます。
ジミーの失踪に困ったのはジョジョでございました。
ジョジョは次第に大きくなるお腹に恐れを感じ、とうとうロバート牧師に連絡してしまいます。
驚いたのはロバート牧師。
すでに堕胎はできず、産まれてきた娘が18歳になるまで支援することになりました。
けれどもそれだけのお金を工面することができず、長い間妻の宝石を売り払うばかりか、教会のお金にまで手を出してきたのでございます。
まだ15歳だった少女との行為、そして隠し子がいたこと、さらには横領までが明るみに出て、ロバート牧師は家族を失う羽目になります。けれども隠し子の仲介で家族とよりを戻すことができ、彼は救われました。
真犯人クレアは認知症もあり、施設への監禁になりました。
自白を取ろうにも記憶が曖昧過ぎて裁判にすらならないのでございます。
そして度々訪れる次男から虐げられる生活になったのでございます。
フィリップは政界へと打って出る直前のスキャンダルに翻弄されます。かつて同じマフィアで働いていた男がフィリップのネタを週刊誌に売り、さらにはマフィアの一員から金銭の要求(強請)がきました。
このままではすべてが終わると思ったフィリップはあろうことか、殺し屋を雇って口封じに走ります。それを知ったフィリップの子供たちが耐え切れずに警察へ通報し、結果フィリップは逮捕されました。すべてを自白した後、公判前に独房で首を吊って自殺してしまいます。
ジミーの50ポンドを盗んだリジーは愛する夫に過去を知られたことでテムズ川に身投げしますが、一命を取り留めます。
どんな過去だろうと今のリジーを愛している、と訴えた夫に救われ、リジーは元の生活へと戻っていきました。
けれども人種差別を声高に、そして激烈な言葉で叫んでいたリジーを愛すると言った夫は黒人でございます。彼女に対する信頼はなかなか取り戻せないのではないか、と私は思ったりするのですけども、どうなのでしょうか…
たったひとつの白骨死体。
それが幾人もの人生の歯車を狂わせ、重く暗い影を落としました。
かつての罪とはいえ罪は罪でございます。
けれども彼らなりに積み重ねてきた39年が存在したと思うのでございます。
実際に殺人を行ったクレアと犯人隠避と遺体遺棄の実行犯エリックは仕方ないにしても、他の人たちの過去まで暴き、その人生を壊してしまったのは気の毒だと思います。
浮気をしたロバート牧師は仕方ありません。
けれどもその家族が突き落とされた不幸のどん底は懸命に家族を愛してきた人たちが知る必要のない地獄だったのではないか、と思うのでございます。
フィリップにしてもそうにございます。
フィリップのしたことは悪以外の何物でもございません。
けれども必死に頑張ってきた子供たちの未来を潰す必要があったのでしょうか?
エリックの子供たちもそうでございます。
親を慈しみ、面倒を見て、愛してきたはずなのに残酷な真実を知ってしまっては足元からすべてが崩れてしまう気分でしょう。なにより殺人者の息子、と呼ばれ、愛する子供が殺人者の孫と揶揄される人生が待っているのでございます。
面白いドラマではありましたが、考えさせられるものでもございました。
本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます~
またいらしてください~♪
お待ちしております!!!