確かに丁寧ですが、詐欺ではございません | 鹿吉の徒然なるままに by Shicayoshi Cake Lab.

鹿吉の徒然なるままに by Shicayoshi Cake Lab.

ひとつひとつを丁寧に、食べてくださる方を想って焼き上げる、を信念に掲げた焼き菓子屋の徒然なる日々を綴っております。

先日ご贈答品として販売したらしい鹿吉の焼菓子がインスタグラムで紹介されていて、めっちゃ嬉しくって小躍りしている鹿吉です。

こんばんは!

 

シュトーレンを美味しく召し上がって頂けたようで本当に嬉しく思います。

感謝ですね!

 

ありがとうございました。

またのご利用を心からお待ちしております~

 

さて本日は詐欺の話。

 

といっても詐欺にあったわけでも詐欺をしたわけでもありません(笑)

私は比較的電話対応が丁寧です。普段の地は別にしても、ビジネス的にもかなり丁寧な対応を心掛けています。

そのため、ちょっとした齟齬があったという話です。

 

前職では受付業務を含めて、一人3役くらいをこなして働いておりましたが、あまりこちらから患者様へ電話をするという行為がありませんでした。全くないわけではないのですが、やはり掛かってきた電話を受けるほうが圧倒的に多かったのです。

ですからどれほど丁寧に対応をしても何も問題はなく、むしろ私と話すと一流ホテルに電話した気分になるとお褒めいただくこともあったほどです。

 

ある日、治療を終えられた患者様がお財布を忘れていかれました。

誰のかを確認するため、中を見させていただきました。どこぞの会員カードとどこかの鍵、そして僅かな小銭が入っていました。

おそらくメインのお財布は別にお持ちでしょうから(会計も済ませているくらいですしね)、なくて困るということもないのでしょうが、鍵の存在だけは気になって、登録されている自宅の電話に連絡しました。

 

電話口に出られたのはかなり年配の女性でした。

おそらく80代にはなられているのではないかと推察します。

 

病院名を名乗り、患者様の在宅を伺いましたが、私の丁寧な話し方が彼女にとっていかにも胡散臭く思えたのでしょう、けんもほろろに

 

「わしは年寄りで何も聞こえん!」

 

と冷たく言い放たれました。

だからといってここで簡単に引き下がるわけにもいかないので、私はゆっくりと大きな声で電話の趣旨を説明しました。

 

「わしは何もわからん!聞こえん!!」

 

彼女からの返答はひたすらそれだけでした。

よっぽど家族から言い含められているのか、もしくは前科持ちなのか、そのあたりの事情はわかりませんが、とにかく話を聞こうともしなかったのです。

 

仕方なく私はため息一つ吐いてから、もう一度あとでかけ直そうと思いました。

 

「承知いたしました。お財布を忘れていかれてお困りかと思い、電話差し上げたのですが、後ほど…」

 

掛け直します、と言おうとした私に食らいつくように彼女は唐突に怒鳴りました。

 

「なんだって?!財布?!?!?」

 

しっかり聞こえとるやないか~いッ!!!

財布ワードだけは聞き取り可能なのか~いッ!!!

便利なフィルターが耳についとるなぁ……

 

「財布がなんだって?忘れていったのか?」

 

「はい、小銭入れのようですが、中に鍵が入っているようでしたのでお困りじゃないかと電話させていただいたんです」

 

「そりゃいかん!すぐに連絡とるから!!!」

 

それだけを投げ捨てるように言うと、彼女は電話を切りました。

息子さんの携帯にでも電話をしてくれるのでしょう。ホッとした私は通常業務に戻りましたが、もうやり取りそのものが志村けんのコントだな、といつもながらに志村けんさんの観察眼に感嘆するばかりでした。

 

詐欺を警戒すること自体、とても大切なことだけれど、本当は詐欺をする人がいない世の中が一番だよな、と思う私は今日も元気に焼いております!

春限定お茶のサブレです。

抹茶サンドが4枚、ほうじ茶サンドが3枚入ったセットになります。

抹茶サンドにはバニラクリーム、ほうじ茶にはチョコレートクリームがサンドされております。

苦味と甘味、そしてほんの少しの塩味をお楽しみいただけたら、と思っております。

そんな焼菓子に興味を持っていただけた方はどうぞこちらへポチっとな、宜しくお願いいたします~

皆様のご来店を心からお待ちしております。

いつもありがとうございます!!!

 

ちなみにその後、すぐに患者様が戻って来られて、どこに置いてきたのかと、あちこち走り回っていたから連絡を貰って助かった、と言っていただけました。

 

「ばあさんが、そりゃもう、すごい剣幕で電話してきたけど、あんたには失礼なかった?」

 

とお優しい言葉もいただき、もちろん失礼などなかったと答えました。

連絡を取って貰って助かった、とも。

 

彼は嬉しそうに破顔すると、また来るね、と病院の挨拶には少々不向きな言葉を残して帰っていきました。

 

今となってはいい思い出です。