あんバターは正義だ! | 鹿吉の徒然なるままに by Shicayoshi Cake Lab.

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ひとつひとつを丁寧に、食べてくださる方を想って焼き上げる、を信念に掲げた焼き菓子屋の徒然なる日々を綴っております。

タイトル通りの言葉を叫んで帰宅した母に驚いた鹿吉です。

こんばんは!

 

昨日、出先で若い子から仕入れて来たらしい母が私の顔を見るなり、「あんバターは正義なんだって!」と言いました。

その意味がわからない昭和のおばさんですが、とりあえず世の中はあんバターで溢れているようで、なるほど、鹿吉のサブレもジャポネーゼが人気なわけだね、とひとり納得した私です(笑)

 

というわけでして、本日もまたサブレ生地の仕込みに余念がありません。

 

さて、せっかくあんバターの話題になったので、本日はそんな話を…

 

私は昔、あんこが嫌いでした。

それを言うなら和菓子が好きではなかったです。

唯一好んで食べたのはいちご大福だけ。

あとの和菓子は饅頭でも生菓子でも、あんこ不使用のお干菓子ですら好きではありませんでした。

 

基本的に食べるのは生クリームたっぷりのケーキだけ。

 

そんな私があんバターサンドを作るようになるなんて、奇跡でも起きたのかと未だに自分でも思っております(笑)

もちろん、今では和菓子の良さもあんこの美味しさも理解しています。

生クリームとあんこ、どっち?と聞かれれば多少なりとも迷う程度には好きになっています。

 

けれど今は好きだという感情だけであんバターを愛しているわけではないです。

 

そこには実に壮大な…ことはなくもない、かな?というちょっとした理由があります。

 

父の友人で、とても可愛がってくれた方がおりました。なにかにつけて気にかけてくれ、私のことを褒めまくってくれる、とても素敵なおじさまでした。父と彼ともう一人の友人3人で定期的にご飯を食べに行く習慣があり、ご飯屋さんのあとには必ず珈琲タイムを取っていました。

 

いまや全国展開のコメダコーヒーでの一幕だったそうです。

お腹いっぱいにご飯を食べたのに、素敵な友人はどうしてもコメダの小倉トーストが食べたくなったそうで、父に半分こしようと提案をするのですが、父はシェアするのは大嫌い。

 

あ、すみません、訂正します。

 

人のものをシェアするのは抵抗ないけど、自分のものは絶対に分け与えたくない、人なんです。

(最低かッ!子供かッ!)

 

だから父は友人の申し出を一刀両断に断りました。

 

この話を聞いたのは、同じコメダの店内でした。

その日は先代犬ズの墓参りのあとで、友人を見送った3か月後のことでした。

 

あのとき小倉トーストを頼んであげればよかった、分けるのが嫌なら2つでも3つでも頼めばよかった、と後悔していた父に「ホントだよ!」と声を掛けつつ、供養飯だと言って、小倉トーストを頼んだのです。

 

私の、初あんバター体験でした。

 

それがとても美味しかったんです。

 

父の友人のことを想いながら食べた、あの小倉トーストは本当に美味しかったのです。

家族3人で泣きながら、バターたっぷりのトーストに小倉をのせて食べました。

 

あの味はきっと忘れないと思います。

私の中ではあんバターはとても特別な存在になっているんです。

 

こんなことを書きながら思い出して涙している私は今日も元気に焼いております!

噂のあんバターを使用した鹿吉人気のサブレ・オジャポネーゼです。

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いつもありがとうございます!!!

感謝しております。

 

そしてこうしてなんとかショップを開いたよ、と父の友人に報告したら、すごく喜んでくれたんだろうな、と考えて、また涙してしまいます。

 

ちなみに祖父の葬式でも泣かなかった父が彼の葬式の時に大号泣の嗚咽三昧の姿を見て、私はとても胸を打たれました。

できれば今も元気で、一緒にご飯を食べに行ったり、BBQをしたり、遊びたかったです。

とても残念でなりません。

 

今日も最後まで読んで下さり、感謝します。

ありがとうございました。