路上生活者の34%が知能指数(IQ)70未満 | 渋谷区 精神保健福祉行政オンブズパーソンのブログ
毎日新聞

2010年3月2日の記事
 東京・池袋で臨床心理士らが実施した調査で、路上生活者の34%が知能指数(IQ)70未満だったことが分かった。調査グループによると、70未満は知的機能障害の疑いがあるとされるレベル。路上生活者への別の調査では、約6割がうつ病など精神疾患を抱えている疑いも判明している。調査グループは「どうしたらいいのか分からないまま路上生活を続けている人が大勢いるはず。障害者福祉の観点からの支援が求められる」と訴えている。

 調査したのは、千葉県市川市職員で路上生活者支援を担当する奥田浩二さん(53)ら臨床心理士、精神科医、大学研究者ら約20人。池袋駅周辺で路上生活者を支援する市民団体と協力し、本格的な研究の先行調査として昨年12月29、30日に実施。普段炊き出しに集まる20~72歳の男性168人に知能検査を受けてもらい、164人から有効回答を得た。
 
それによると、IQ40~49=10人▽IQ50~69=46人▽IQ70~79=31人だった。調査グループは「IQ70未満は統計上人口の2%台とみられることからすると、10倍以上の高率」としている。先天的な障害か、精神疾患などによる知能低下なのかは、今回の調査では分からないという。
 
調査グループは、IQ40~49は「家族や支援者と同居しなければ生活が難しい」▽50~69は「金銭管理が難しく、行政や市民団体による社会的サポートが必要」▽70~79は「日常生活のトラブルを1人で解決するのが困難」と分類している。
 
調査結果は3日、国立精神・神経センター精神保健研究所(東京都小平市)の主催で開かれる専門家のシンポジウムで発表される。【桐野耕一】



2009年12月6日の記事
東京の路上生活者、6割に精神疾患 救済対策手つかず

精神科医らが東京・池袋で路上生活者の実態を調査した。約6割がうつ病や統合失調症の症状などの精神疾患を抱えていた。全国の路上生活者は1月の国の調査で1万5759人。底なしの不況で増加が懸念され、就労・自立支援のあり方が問われる。厚生労働省は「精神疾患の患者や知的障害者がずっと路上にいるのは好ましくない」としつつも、特別な対策はとっていない。初冬の東京を歩いた。
 
約320人の路上生活者がいる新宿区。11月下旬の午後4時すぎ、頭上のJR中央線ガードを走る電車と、行き交う車の騒音が交差する歩道に男性がうずくまっていた。布切れを縫い合わせた服を着て、穴のあいた帽子をかぶっている。髪やひげは伸び放題だ。
 
「10年ほど前からここにいる。年齢? 数えたことないが50過ぎかな」。大きなバッグや袋が台車に載せてある。「着物の作り方や絵を教えている。相手が食事をくれる。作品が多くてアパートに入りきれないから路上暮らし。冬は寒いが仕方ない」
 
荷物の中に色鉛筆はあるが、作品は見あたらない。「彼は近くの市場で野菜くずなどを拾ってきて、煮て食べている」と巡回相談担当の区職員。調査に携わった国立病院機構久里浜アルコール症センター(神奈川県)の森川すいめい医師は「幻想と現実の区別がついていない。統合失調症の症状でしょう」と語った。
 
別の夜、新宿・歌舞伎町。歩道に60代らしい女性がしゃがんでいた。頭にスカーフを巻き、緑色のカーディガン姿。暮らしぶりを尋ねると、いきなり生い立ちらしき話を始めたが、とめどなく、会話はかみ合わなかった。