自分は何も持ってない

私は以前からブログでも書いているように、盗撮をして警察に捕まっているのですが、その後カウンセリングを受けてその時のアドバイスをもとに盗撮の再犯を防ぐため、自分なりに試行錯誤をしていました。

 

私には以前の職場の同僚で、好意を抱いている女性がいましたが、その女性には婚約者がいました。

私はたまたまその女性と婚約者が一緒に買い物をしているのを見かけましたが、その婚約者の男性は20代後半で身長が180センチ近くあり、黒縁眼鏡をしいて、メガネが似合うイケメンで、細身ながら筋肉質で男の私が見ても確実にもてるだろうなと思いました。

後から聞いたのですが、その彼はサラリーマンでしたが、その会社の幹部候補で部署のリーダーをやっているそうで、その上実家の父親が建築会社の社長という、世間でいうところの「勝ち組」の部類に入る人でした。

 

対して私はというと、40代の中年で腹も出ていて顔もパッとしないフツメン以下で、髪も白髪交じりでくたびれていて背の高さも平均身長以下で、父親は普通のサラリーマンで、本当にどこにでもいるようなただのオジサンって感じでした。

私はいわゆる世間一般でいうところの自立した大人の男性とはいえず、女性との接触が苦手でまともに話しかけられず、唯一の女性との接触が盗撮しかなく、社会人としての能力も引き出しも大して持っていなかった普通以下の幼稚な人間でした。

 

私はその女性と一緒にいた婚約者の男性と比較して、自分があまりにも情けない矮小な人間だという現実を強く突きつけられたようで、あきらめや嫉妬やらなんやらわけのわからない感情に襲われ、しばらくするとスゥーっと引き潮のように感情が引いていき、それまで感じていた感情が消えるのがわかりました。その時に心に中でつぶやいた言葉を今でも覚えていますが「なんだ、俺はこんな程度のものか」でした。

 

それが心を閉ざしてそうなったのか、嫉妬などのネガティブな感情を感じることに意味がないことを自覚したのか、実際に心の中で何が起こったのかを説明するのは難しいのですが、その日から徐々に子供じみた幼稚な発言はあまりしなくなり、顔から喜怒哀楽の表情が消え、それ以前は割とよくしゃべる性格だったのですが、職場では仕事の話以外はほとんどしゃべらなくなっていきました。

 

この「強烈な現実を突きつけられる」という体験が、盗撮をしている自分自身に対して幼稚で情けない人間だという認識が強くなっていき、その後はそれ以前よりも盗撮をしたいという欲求が減っていくようになりました。

 

私はこれが盗撮を防ぐための最良の手段かどうかというと、それは何とも言えないのです。

なぜならこの強烈な体験をした後に副作用のように私の感情から「楽しく笑う、素直に喜ぶ」という感情が少なくなってしまったからです。

 

これを世間では「大人になった」というのかもしれないですが、いまだに「楽しく人生を過ごす」という感覚は失われたままです。

もしまたこの体験以前に戻ることができたとしても、また盗撮欲求が戻ってきてしまう気がするので、その選択はしないでしょうね。

 

あまりこうなることはお勧めはしませんが、盗撮をやめる手段の一つになるかもしれません。