【587】 絶滅
Universe 25という8匹(つがい4組)のマウスの生活状況・繁殖状況を観察した実験があります。この実験は、動物行動学者のジョン・B・カルフーンが1960年代から70年代にかけて「過密状態が社会にどのような影響を与えるか」を研究する目的で企画されました。実験の詳細は↓をご覧ください。https://data.wingarc.com/universe25-68324実験条件は、2.7m×2.7m×1.4mのケージで、天敵となるような捕食動物が入らず、病原菌も入らず、食料・水・巣材は無制限に供給される閉鎖環境(最大許容個体数は3,840匹と見積られています)。実験開始から終焉まで、マウスたちの生活はおおよそ次の4段階を辿ったそうです。第1段階(0〜104日):環境に適応し、巣を作り始めた。第2段階(105〜314日):約55日ごとに個体数が倍増し、活気にあふれていたが、「社会的順位」を巡る争いも目立つようになった。第3段階(315〜560日):個体数の増加が鈍化し、引きこもり、 交尾や闘争を拒否、食べて寝て毛づくろい(grooming)だけをするオスが出現し、共食いや、幼いマウスへの攻撃など異常行動が状態化した。育児放棄する攻撃的なメスが増加した。第4段階(561日目〜終焉):生殖行動をとらない個体が増え、 最後の出産は600日目で、総個体数が2,200匹に達した後、減少が進み、絶滅した。ここで改めて、AIに纏めて貰ったタイムラインも付け加えておきましょう。0日目: 4ペア(計8匹)のマウスを投入。560日目: 個体数がピークの2200匹に達する600日目: 出生率が急低下し、社会崩壊が顕著になる。920日目: この日を最後に、新しい個体が生まれなくなる。1780日目: 最後の生き残りが死亡し、絶滅。※ 最後の出産日のデータが不一致ですが、そのまま掲載します。この実験で注目すべき第1点は、ケージにはまだ数百匹以上のマウスを収容できる余裕があり、食料も豊富だったにも関わらず、過密ストレスが原因と考えられる社会崩壊が発生し、絶滅したという点にあります。第2点はケージ内がマウスだけで、いわゆる『生物多様性』を一切排除した超特殊な環境下における生存過程を観察した点にあります。実験結果を即人類に当てはめることはできませんが、地球という閉鎖環境で安心して生活できる時間はあとどのくらい残されているのでしょうね。※ なお、ユニバース25実験の再現性は現在に至るまで、他の科学者によって確認されてはいないそうです。