足洗い
とうちゃんは、僕の足洗いが嫌いだ。
散歩自体もあまり好きではないのだが、散歩の後の僕の足洗いがめんどくさいとよく言う。今日なんか変な計算をしていた。
「足が4本で、1日2回、365日では。」
電卓を持ってきて、パチパチパチと。
「2920本も洗わんとならん。」
どんな計算をしたのか、僕にはわからないけど、どうも僕の足をいっぱい洗わないといけないことを愚痴ってるようだ。おまけに
「靴をはいて散歩に行って、帰ってきたら自分で脱げ。」
なんて、無茶なことを言う。
僕だって、毎回シャワーで足を洗われるのはいやなんだ。
とっても寒い日に、冷たい水を足にかけられたものなら
「ひえ~~~。」
と言いたくなる。
お互いの利益が合致するのだから、足を洗わなくてもいいのに・・・。
でも、かあちゃんは部屋が汚れると言って、とうちゃんにも僕にもそれを許さないのだ。
あ~あ、今日も僕は8本分の足を洗われた。
ノンちゃん
日曜日の朝は、いつもより1時間ぐらい遅く散歩にいく。
かあちゃんは、いつも
「日曜日ぐらい、ゆっくり寝かせて。」
と言っている。だから、僕はおしっこタンクがいっぱいになっていても、
がまんすることにしている。
今日は7時過ぎに散歩の出かけたら、久しぶりにノンちゃんに会った。
ノンちゃんは僕のことをあまり好きではないようだ。それは、
ノンちゃんのご主人がぼくを見るたびに、
「いつ見ても、元気くんはかわいいな。」
というので、やきもちを焼いているのだと思う。
ノンちゃんのご主人は、散髪屋さんだ。
僕んちの兄ちゃんたちも高校生までお世話になった散髪屋のおばちゃんなのだ。
だから僕はこのおばちゃんが好きなんだけど、ノンちゃんが僕に向かっていつも吠えるからゆっくり話ができない。 残念だ。
山歩き
日ごろアスファルトの上を散歩している僕にとって、
山歩きは最高にうれしいひと時である。
山に足を踏み入れいるやいなや、血が騒ぐというか、野生の本能が目覚める。
思いっきり山道を駆け巡りたいのだけど、ご主人様の持つリードがそれを邪魔する。
ご主人様の歩くスピードが、僕の想いについてきてくれない。それどころか、
「そんなに引っ張るな。」
と反対に怒られてしまう。
リードなしで自由に野山を走り回りたいものだ。
しかし、こうして山に連れてきてもらえるだけありがたい。自由がなくてもとうちゃんとかあちゃんといっしょの山歩きは楽しい。木々の間からの木洩れ日、落ち葉のかさこそという音、気持ちの良い風…。懐かしいにおいがする。