こんにちは。社労士の花輪くんです。

 

半年ぶりの投稿です。関東では桜が終りそうです。

さて、3月までの半年間は、全国会が主催するセミナーを受講しておりました。

「労働法歴史&理論研修」と第して、「詳解労働法(第4版)(水町勇一郎著、東京大学出版会)」の内容を著者の水町先生が16回に分けて解説するものです。

労働法の内容を歴史的な経緯や諸外国との比較に重点をおいて説明するものでしたが、歴史的な経緯等を知ると本当によく理解できるものだと驚きました。

理解するということは、知っていることと違うと思いませんか?

具体的にはどう違うのでしょうか。

社労士ですので、労働基準法を初めとする労働法の各法は知っていました。

そして特定社労士試験受験にあたり、裁判例もいろいろ知りました。

みなさんも同じ事でしょう。

そのうえで、顧問先からの就業規則改正対応にあたり、いろいろな質問に対して答えてきました。

また、顧問先のハラスメント等の労務トラブルの対応にあたり、さらなる拡大を防ぎつつ収束させるべくいろいろ指導もしてきました。

これらには、最悪揉めて裁判になった場合、顧問先がリスクを負わないように対応してきたつもりです。

しかしながら、裁判例は実際に紛争になった事情での裁判官の判断結果であるため、前提の事情が少し異なると結果が変わってくるはずです。

セミナーでは、掲題の本を使用して各法律の歴史的な経緯や改定履歴も丁寧に教えてくれました。

これにより、裁判官の判断の基準は時代背景とともにどのように変化してきたか、また育まれてきたのかについて知ることができました。

解雇を例にすると、1955年頃までは民法の原則である「解雇の自由」により解雇が横行していたそうです。

しかし、その後1965年にかけて「解雇権濫用」を理由として生活を守るべく解雇を制限する判決が増加して、1975年最高裁判決により「解雇権濫用法理」として確定したそうです。

この時点では、民法を制限するような形で「解雇権濫用法理」を判断基準として裁判官は判断していたことになります。

このことは、法律の条文を知っているだけではわかりません。

そして、この解雇権濫用法理が2007年に労働契約法17条として法律化された。

これらの背景から、法律を知らない会社では現在でも不当解雇が横行しつつ、コンプライアンスがしっかりしている会社では「解雇はできない」と感じている二極化の現実が理解できました。

このように各法の経緯と現状を踏まえると、法律の条文だけではなく、それらの元となった法理や類推解釈もあることを知ることができます。

そこまで知ると、裁判官が双方のどの事情をどのように考慮して、どのような判断基準に立って判断するのかを想像できるような気がします。

言い換えると、思考の解像度が上がったかもしれないと感じています。

これが、理解できたという感覚かもしれません。

掲題の本にも、全1497ページに渡って各法律の歴史的な経緯や改定履歴に加えて裁判例も丁寧に記述されています。

さすがに読むだけでは消化は大変です。

しかし、セミナーで要点を強調していただくと、なんとか全貌をつかめた感じがしました。

さらに、セミナーでは毎回最後に水町先生が事前質問に対して解説回答いただけるのですが、この質疑応答に私は興奮しました。

質問者に対して「よくそんな質問を思いつくものだ」という点と、それらの質問に対しての先生の解説回答に対して「さすがに先生の知識量と視野の広さは別格だ」という点です。

世の中には上には上がいるものです。

「目からうろこが落ちる」感覚を久しぶりに感じました。

社労士として労務相談をされている方、特に特定社労士の方にはお勧めできる基本書です。

さらに、また全国会で実施されるのであればセミナーの受講を検討されるとよいと思います。