~類似点と相違点~

最近西洋占星術でも、古典に属する入門書を何冊かざっともを通してみたが、インド占星術とよく似ている部分もある。しかしインドはサイデリアル方式を西洋はトロピカル方式を用いるという点では全然ちがう。西洋占星術側が地球の歳差運動に気づいて毎年春分点で軌道修正するようなったのは、ヒッパルコスがトロピカル方式に切り替えてからだ。(それではインド占星術側が地球の歳差運動を知らなかったのかというとそんなことはない)それまでのインド占星術と西洋古典占星術とある部分似ていたのではないかと推測する。ナクシャトラ中心の元来のインド占星術にギリシャの古典占星術が入ってきて融合したのが現在のインド占星術であるという説はある意味で本当だろう。(ブリハットサンヒターにそのような記述がある)だが正確に言うと融合ではなく月のジャンマナクシャトラの支配星とダシャーが接点、コネクターになっているだけだろう。融合はしていないと思う。やはりインドはインドで独自の体系がある。宗教との関わり方も見逃してはいけない。

西洋占星術がトロピカル方式切り替えてまだ日の浅い時期に書かれた「テトラビブロス」のハウスや惑星の象意をみると、インド占星術の象意とよく似ていると感じる。しかし、インド占星術と西洋古典とはっきり似ていると思うのが、タジカシステムといって、今日のタジキスタン(ペルシャ系)か伝わったとされている系統のインド占星術だ。主にプラシュナやヴァルシャハラに使用される。おそらく北インドがムスリム支配になってからイラン方面から入ってきたものと思われる。たとえば西洋古典ではアヴァージョンといって、惑星が6/8,2/12の位置にあるとアスペクトを取らない書いてあるが、タジカシステムでもこの場合はアスペクトをとらない。

丸山穂高議員は辞職するか.PNG

タジカシステムのアスペクト

上図での獅子座支配の太陽と水瓶座支配の土星はハウスが6-8関係にありアスペクトを取らない。

或いはアスペクトのオーブの取り方が、西洋古典では下図のようなオーブで度数を惑星ごとにとっているが、

西洋古典オーブ

この度数はタジカシステムにおけるオーブの度数とまったく同じである。この他西洋古典ほど数は多くはないが、タジカシステムではアラビックパーツも使用している。タジカとは中央アジアのタジキスタン(ペルシャ系)いう名前から由来する。その名の通り、おそらくそのルーツはペルシャ占星術にあるのだろう。それならばアブマシャー以来のペルシャ占星術と似ている筈である。でもそこらへんの追及は私はその辺は占星術史家に任せようと思う。

一方相違点も多い。西洋古典には、ダシャー、分割図、アシュタカヴァルガ、ジャイイミニシステムの様な見方はない。インドではディストリブーション、プロフェクション、ディレクションションのような予測システムはない。フィルダリアはダシャーというには単純すぎる、ヴァルシャハラと呼ばれるソーラーリターンとトランジットの見方はあるが見方は全然ちがう。

それぞれが複雑な体系をもった占術だと思う。似た部分があるからといって、片方ができれば自動的にもう一方もできるというほど甘くない。そう錯覚している人がいるとしたら、中途半端な占術や学問の勉強しかしたことのない人だろう。占いの知識学習体系は 1 基本知識の吸収、2事例研究を通じての基本知識の習得 3高度の知識の吸収 4実践を通じての高度の知識の駆使と4段階がある。第1段階の「基本知識」の吸収をもって知っている、できると称するいい加減な占い師が世の中には実に多い。それは看板に偽りがあると言わざるを得ない。占いのド素人はそれでも騙せるだろうが、少し勉強した人が見ればすぐに分かる。

第4段階まで行くには相当の年月と勉強時間が必要であり、あれもこれもできることは普通の能力の人にはありえない。私も興味本位でいろいろな占いの勉強はしているが、第4段階までいくことを目標にしているのはインド占星術だけである。エヴァーティンのハーフサムと真勢派の周易くらいは第3段階にまで行きたいと思っているが、それ以上欲張る能力も野心も自惚れもない。古典占星術に興味はあるので時々本を読むくらいのことはする。だが両方やって融合させようなどというのぼせあがった妄想は抱かない。なんで凡人が両方できるというのか。私は飽くまでインド占星術師に徹する。それ以外はそれを補強するための手段に過ぎない。