朝起きて寒い寒い言いながらストーブのついてるリビングに向かう。
おはよーと言いながら指定の椅子に座る。
いつも通り綺麗に散らかったテーブルの真ん中にはおせちが鎮座している。
「お茶飲むか?」
そう父に聞かれ、うんと答える。
濃い湯気の上がるお茶をゆっくりとすする。
ニューイヤー駅伝の実況と声援がテレビから流れている。
台所には父。
さっささっさとお雑煮を仕上げていく。
わたしは見るということもなくテレビを見つめる。
パタパタとスリッパの音とともに年季の入った割烹着を着た母がリビングにやってくる。
「洗濯物あるなら出しなさいね」
との問いにテレビを眺めたまま、ないと答える。
「餅、何個食べる?」と父。
束の間考えて2個と答える。
「おーい、出来たぞ。」
“箸これ?”と聞きながらみんなの分を用意する。
盆と正月にしか帰らないということは
そんな些細なことも分からない。
お雑煮が並ぶ。
家族が揃う。
改まって新年の挨拶をする。
マラソンの実況をBGMに正月が始まる。
そんな
なんてことないいつもの風景が恋しい。