アテネからカイロに入ってそのままギザのピラミッドのすぐそばのホテルに泊まった。その日の夜にナイル川のディナークルーズをオプショナルで頼んであったので行った。そもそもナイルデルタの地帯なので、どの川が本当のナイルなのかわからないが、何にせよナイル川の支流であるということは間違いない。
さてそのクルーズ船なのだが、なんだか動いてるんだか動いてないんだかわからないほどゆっくりとしたスピードで行って帰ってきた。そのクルーズ船で最も心が震えたのは、ナイル川から見た月の様子である。あの古代の文明の人たちも、こうやってナイルに沈む月を見ていたんだろうと思うと、悠久の大河にいま自分がいると思うと、すごく生きていてよかったと感じたところだ。
料理はビーフの料理で野菜は取り放題。ビーフは味があっさりしており、日本人に合っていた。日本人以外の客は中国人も欧米人もおらずイスラム圏から来た人たちと日本人だった。
しかし前座のバンドが演奏し始めたのは、ジャージーボーイズの「君の瞳に恋してる」という曲だった。演奏が非常に上手で、心に染みいった。 その後は「恋せずにはいられない」と言うエルビスプレスリーの曲を演奏してくれた。この二つの曲はアメリカの曲だし、西洋文明を象徴してると言っていいだろう。しかしその曲がこのナイルの、イスラムの、エジプトでかかるのである。この二つの曲ならおそらく世界からどのような人たちが来ても、聞いたことがある曲なのだろう。
前座のバンドの演奏が終わると、タンヌーラのダンスが始まった。そして最後にトリを取ったのはベリーダンスの女性である。これは動画でアップしておいたので見てほしい。イスラム圏でこの踊りが発達したと言う。私はフラダンスとの区別がつかなかったが、同行のツアーの女性が、今、日本の中年女性の中でも流行っているんだ、と説明してくれた。そしてこの夜に踊った女性は大変上手だと絶賛していた。私はそれが上手なのか下手なのかすら区別がつかなかった。このようなディナーパーティーのような形でのステージが多いのだろう。これは世界共通で、日本でも私は沖縄に行った時に、沖縄の踊りを見ながら食事を取ったことがあるし、京都では舞妓さんのダンスなどを見ながら食事をした経験がある。これは食事を楽しくするためのものである。
しかし私はちょっと飽きてしまって、デッキの方に出てゆっくりと走る船の上からナイルに沈もうとしている月を見ていると、するとこの船の係りの人が是非ベリーダンスを見てほしいと私に 頼んできた。私は月が素晴らしいのでつい外に出てみていた。今行きますと答えた 。
そしてベリーダンスの最後にかかった曲が、「クリスティーナ」と言うおそらく女性の名前が入った曲だった。このクリスティーナというのは、名前の由来はキリスト教徒の女性という意味なのである。ベリーダンスはイスラムで生まれで発達したと言うが、なぜクリスティーナなのだろうと余計なことを考えてしまった。あまり難しく考えない方がいいのかなとも。ただキリスト教徒の女性がイスラム圏に連れてこられて踊りを踊ったのかもしれない。
ベリーダンスの起源は古代エジプトであるようだ。キリスト教が始まる前からスタートしている長い歴史を持っている。オスマントルコに伝わってイスタンブールなどでも踊られたのだろう。エジソンが映写機を発明した100年以上前からも、欧米ではポピュラーなダンスとなっていたようで、現在は日本でも中年のご婦人達の間で流行っている。様式はトルコ様式やエジプト様式があるようだが、イスラム圏のダンスを総称してベリーダンスと呼ぶそうなので、広くて捉えた方が良さそうである。
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