『イスラムから見た世界史』を読む⑯オバマ大統領のカイロ演説(土) | 柴犬カン、福の日記

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柴犬カンと福、筆者の出来事、想い、政治、経済、文学、旅行、メンタルヘルス、映画、歴史、スポーツ、等について写真を載せながら日記を綴っていきます。柴犬カンは2018年12月に永眠しました。柴犬福が2020年4月7日夕方にわが家にやってきました。その成長記録。

 オバマ大統領は演説だけで大統領になった男だ。もちろん黒人初のアメリカ大統領だが。そして就任した2009年に有名なプラハ演説を行い、基本的人権と平和の大切さを高らかに演説した。特に核軍縮を進めていく決意を語った。「プラハの春」の連想からである。これでノーベル賞を受賞した。

 

 2016年5月には被爆地広島を初めて訪れ、広島演説を行った。これも、アメリカの非は認めていないが、限りなく核兵器の使用への悔恨の情を滲ませている。この演説は本当に素晴らしかった。広島の地に来ただけでも素晴らしかった。

 

 しかし、私は知らなかったのだが、2009年6月4日にカイロ大学で行った「カイロ演説」というものが、イスラム世界においては非常に重要であり、かつ議論を呼んだのだという事実がある。

 

 この演説の中でオバマ大統領は、かつて欧米が18世紀後半あたりからイスラム諸地域に進出し、搾取し、植民地化し、西欧の思想を押しつけようとしたことに、若干の謝意を滲ませるような言葉を混ぜて演説したのである。広島でも謝罪はなかった。カイロでも謝罪はなかった。

 

 欧米の保守主義者は、オバマ大統領のミドルネームがフサインであることから、彼はイスラムびいきだ、いや、ムスリムそのものだと批判した。一方イスラム諸国の原理主義者からも、この演説はレトリックに過ぎないと批判された。ムスリムたちは、特に為政者たちはオバマ大統領を絵空事を言う空想主義者で、現実的なアクションはまるでしない臆病者だと、口に出したものもいればそうでないものもいただろう。

 

 日本でも自民党の青山氏などはオバマ大統領は臆病者で、ウサマ・ビン・ラディンを殺害した以外は何一つせず、イスラム国の拡大に手を貸しただけだったと批判している。

 

 安倍総理も、任期の僅かしかないオバマ氏より、現実主義者のトランプ氏を好んでいるように見える。かつてウィルソン大統領が理想論を言ったが、国内の反対でつぶされた。1928年の不戦条約もそうだ。イギリスのジョセフ・チェンバレン首相のナチスに対する宥和政策も裏目に出た。歴史はあくまで結果論でしかない。未来を占うことは出来ない。

 

 しかし、私はこの『イスラムから見た世界史』を読んで、非西欧国の日本人としての歴史観に新しい確信を得るに至った。西欧のリベラル派の高慢さと、根っこの暴力性である。オバマ氏ははっきりと、進歩主義史観の持ち主であるフランスの大統領候補、マクロン氏支持を打ち出していた。

 

 出来たら中国から見た世界史、アフリカから見た世界史、インディオから見た世界史、東南アジアから見た世界史、インドから見た世界史、などを読んでみたい。きっとあるのだろうけれど情報がない。

 

 今回の独り読書会はこれにて終了としたい。

 

 

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