『イスラムから見た世界史』を読む⑮イスラム近代世俗主義の衰退編(木) | 柴犬カン、福の日記

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柴犬カンと福、筆者の出来事、想い、政治、経済、文学、旅行、メンタルヘルス、映画、歴史、スポーツ、等について写真を載せながら日記を綴っていきます。柴犬カンは2018年12月に永眠しました。柴犬福が2020年4月7日夕方にわが家にやってきました。その成長記録。

 パキスタンはイギリスから独立したもののインドと分裂した。ズルフィカール・アリーブットという、カリフォルニア大学バークレー校出身のエスタブリッシュな指導者がクーデターに遭いやがて処刑される。さらにイラン革命を受けて、イスラム原理主義の拡大を嫌うソ連(国内に多くのイスラム教徒を抱えていた)のアフガニスタン侵攻がはじまり、パキスタンを通じてアメリカのCIAは、アフガニスタンのムジャーヒディーン(イスラム義勇兵)を支援した。しかしこれがソ連崩壊後にタリバン政権を生み、さらにアルカイーダを産んだという結果に終わった。アフガニスタンは現在パシュトーン人の支配下にある。

 

 パキスタンはブットの娘が首相になったりしたが不安定で、軍人のムシャラフがクーデターで実権を握った。2008年まで権力を保ったが、その後はパキスタンムスリム連盟シャリーフ派が実権を握っている。

 

 ほとんどのムスリム国家は、世俗的近代主義の退潮が際立ち、アラブの春という2010年~2012年の動きは一過性のもので終わり、混沌、ないしは独裁、ないしは原理主義化ということになっている。そして、欧米は民主主義対全体主義という衣をかぶった、実は、石油利権を巡る大国と原産国の対立だと見抜いている。イラク戦争はまさにそのものである。

 

 筆者のアンサーリーは、1992年にアメリカで出版されたフランシス・フクヤマの『歴史の終わり』を強く批判する。フクヤマはソ連の崩壊によって、資本主義に立脚する民主政治が歴史の最終地点で、それ以降はないとした。共産主義は幻想だったと。しかし、アンサーリーは世界の多くの地域、特にイスラム諸国では、これからムスリムが世界に進出し、ジハードを拡大し、普遍化されたマディーナになるのだと考えている。もちろんこれはジハード主義者の考え方で、私は穏健なムスリムは他宗教の共存を認めていると思う。日本や中国をイスラム化するのはまず無理だろうから。

 

 そしてその資本主義の、民主主義の御本尊であるアメリカや特にEUの中心である国々に、彼らのいう歴史の進歩史観からすれば、後退し始めているという現実が2016年のブレクジットやトランプ大統領の当選などに現れ始めている。そこには大きな歴史観の分断を見て取れるのだ。

 

 今や、最も民主的で、対立も少なく、平和な国は日本だけであると、憲法9条がまさに平和のお札のように、日本では戦乱に巻き込まれないのだと、つい信じてしまいそうになる。ただ、大東亜戦争で「神風」は吹かなかったように憲法9条にしがみつくのは危険きわまりないとも思うのである。素晴らしい理想なのだが・・・。

 

 明日はオバマ大統領について。アンサーリーは日本語訳版にオバマ大統領のことに触れている。

 

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