【町長選挙】奥田英朗 | 日々のお得

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町長選挙 (文春文庫)/奥田 英朗

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「イン・ザ・プール」以降、文庫化されれば購入してきっちり読んでいる「精神科医伊良部先生シリーズ」。
伊良部先生はイメージ肌つやつやでむっちりした中年男性。大病院のご子息なのです。
髪の毛は薄く、でもまんべんなくやわらかい毛が生えている赤ちゃん的な感じの薄さ。
この赤ちゃん的なルックスどおり、精神年齢が過剰に低い精神科医が、精神年齢が非常に高いとされている地位の患者を相手に訴訟ぎりぎりのめちゃくちゃな治療をほどこす、という短編集です。
今回の患者は某球団オーナーや、某IT社長といった人たちでした。
2009年の今読むと懐かしい感じの2004・5年の社会的事件を題材としたショートストーリーが4本入っていました。

考えすぎる、考えすぎて病気になる、病気のため淘汰されるので考える必要がなくなる、といったように自己治療的な精神病はダレでもなる可能性があるように思います。
考えすぎていることも分からないこともあったり、そもそも、何で、何に気を病んでいるのかもよく分からないこともあったり。
病気になっても淘汰されたくないという強い社会的欲求がこういう病気を長期化させる原因のようにも思いますが、何にしがみついているのかも分からなければ、治療の方法がありません。
伊良部先生の治療法は、子供の頃に自らを退化させ、その自分自身を患者自身を投影させる箱庭状態にし、社会的束縛がない箱庭で描かれる物語を患者自身が感じとり、病気から立ち直っていく手段を模索させていくという手法です。たぶん。。
伊良部先生がいない現実の私たちにの自己治癒方法は、自ら箱庭を描ける想像力でしょうか。
体から出す、というアウトプット力が大事な気がします。

・・かくいう本日、会社で仲良くさせていただいている先輩が東信まで遊びに来てくれて、お昼から夕方まで5時間おしゃべりに付き合ってくださいました。お互いの精神的な問題には全く直接関係ないことなのですが。楽しかったです。こういうのも、一種の箱庭療法なのでしょうか。