もう1つの講座。
遅くなりましたが、ご報告します。

⚫️膵臓がんのゲノム医療と遺伝子検査。
国立がん研究センター中央病院 
肝胆膵内科医長   森實千種先生

ゲノム医療は難解・高度。
挨拶で先生は
『難しく喋ってもいけないので対策を練ってきた』と。
何かと思って聴いていると、膵臓がんはパープルがイメージカラー。
それを忖度し、先生も紫色のシルクネクタイを三越(普段の倍の値段)で買ってきた、と。
胸元を見ると、確かにしっかりと紫色!
『これだけ頑張ってるので、もし講演が解りづらかったとしても、アンケートには、解りやすかったと書いてくれると有難いです』と仰有った。
(場内笑いの渦)

実は寝そうになってた自分は、先生のジョークに救われた(笑)




さて、本題。
・概要
細胞の表面には、細胞増殖の信号を核に伝えるレセプターがある。
言わば、TVのリモコンの受信機のようなもので、がんは、これが壊れて画面がつけっぱなしの状態になる。
壊れた原因を調べると、設計図に間違いが判明した(遺伝子変異)
最初の設計図を治すことはできないため、がんの治療は、その受信機を修復するようなもの。

・膵がんBIG4遺伝子
KRAS(87%)、CDKN2A、TP53、SMAD4
…細胞増殖に関わる遺伝子。残念ながら有効な治療法はなし。
ただ、今年の米国臨床腫瘍学会ASCOでKRAS G12C(KRASのサブタイプ)に対してAMG510治療薬が「期待できる」との報告もなされた。

BRCA2…がん抑制遺伝子。紫外線等で傷ついた遺伝子を修復する。これが壊れると遺伝子の修復ができず、異常の遺伝子が蓄積していく。治療薬も出てきている。

・膵がん遺伝子異常に基づいた治療
⚫️オラパリブ(リムパーザ)
国内未承認。BRCA遺伝子異常。生殖細胞系列。血液検体。
以下は、がん種横断的な治療薬
⚫️エヌトレクチニブ(ロズリートレク)
NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がん
⚫️ペムブロリズマブ(キイトルーダ)
MSI-Hを有する固形がん

医療の進歩を実感した講演でした。


最後に、主催されたパンキャンジャパン代表の眞島さんのお話が心に響きました。
眞島さんは妹さんを膵がんでなくされてますが、当時膵がんは余命3ヶ月と言われていた。
米国での承認薬があっても、日本で使えるようになるまで5年かかったそうです。だから、ドラッグラグ問題を無くさなくてはならない。

パープルリボン活動(抜粋)
・米国ガイドラインが推奨するように、がん告知の時点でゲノム検査が受けられように配慮すること。
米国では、ゲノム検査を受けた27%の遺伝子変異に対応する薬がある。
例:肺がんで見つかるALK融合遺伝子があり、患者に投与され効果が出ているそうです。

ご自身も、現在治療中でありながら、膵がん治療の前進に向け指揮を取られてる姿に勇気と活力を頂きました。


当日は猛暑日。
足を運ばれた患者さんや、そのご家族。その他がん闘病中のすべての方が、少しでも好転するよう、願わずにいられない。


稲村ヶ崎から富士を臨む



柴犬ポチ🐶