こんばんは。
この数日、ずいぶん寒くなりました。
しかもまた大きな台風も来ているようで心配です。逸れてくれますように。


さて、ちょっと間が開いてしまいましたが、三連休の最終日に行った講座のレポートを。

認定NPO法人『希望の会』(理事長轟浩美さん)と、がん情報サイト『オンコロ』(代表可知健太さん)による共済セミナーで、

 『いま改めて知る、胃がんと治療のこと』
~納得して、あなたにあったベストな治療を受けるために~

に、参加してきました。場所は日本橋のコレド室町3 。
司会進行は主催の代表の方々。
講師は、
国立がん研究センター東病院
消化管内科医長    設樂紘平先生です。

私にとって胃は、3年前に大腸がん判明のキッカケとなった臓器。(ピロリ菌による萎縮性胃炎で1ヶ月間不調)恩人です。
設樂先生は、内科の先生らしく、化学療法の話が中心でしたが、基礎知識に始まり治療の最新情報も聴けました。






1.  胃がんの転移とステージ
リンパ節転移は3以上、他の臓器への転移は4
(大腸がんと同じ)

2.  進行度別治療
ステージ 1:内視鏡切除または胃切除
ステージ 2、3:胃切除+抗がん剤
ステージ 4:抗がん剤治療が中心

3.  化学療法
・ステージ 2 とステージ 3 
    ①5-FU系(S-1、カペシタビン)
    ②オキサリプラチン(またはシスプラチン)
    ③ドセタキセル(またはパクリタキセル)
・ステージ4または再発
上記に加え
   ④イリノテカン
   ⑤抗HER2抗体:トラスツズマブ
   ⑥抗VEGFR抗体:ラムシルマブ
   ⑦抗PD-1抗体:ニボルマブ

⚫️トラスツムマブ(ハーセプチン)
HER2(増殖因子受容体)はがん細胞に「増殖しろ」の指令を出す。これを標的に細胞をやっつける。
胃がん患者15%前後にHER2陽性。
副作用:投与時反応(発熱)、心機能低下(重症例はまれだが注意が必要)
※大腸がんでも早く適用して欲しい。

⚫️ラムシルマブ(サイラムザ)
がんは血管から栄養や酸素を取り込むために新生血管を造るが、それを断ち切り兵糧攻めにする薬。
副作用:高血圧、出血、穿孔など。
出血しやすい胃がん、深い潰瘍の胃がん、直近の血栓症など使わない方が良い場合もある。

⚫️ニボルマブ(オプジーボ)の奏効例
・マイクロサテライト不安定性(DNA修復異常)で遺伝子変異が多い患者
・EBウィルス陽性の患者

⚫️TAS-102(ロンサーフ)
大腸がん2014年3月承認済だが、胃がんでも2018年8月承認申請。

⚫️治験
・新規HER2標的製剤:DS-8201a(HER2抗体と抗がん剤の複合体)
※3次治療以降のHER2陽性胃がん患者を対象。

・CIaudin18.2蛋白に対する抗体製剤:IMAB362
低分化型・スキルス型に発現が多い。
全世界での第3相試験が開始(1次治療)
※国立がん研東病院では、第1相試験実施(第3次治療以降)


以下は質疑応答。

Q.  大腸がんではポリープ切除を勧めているが、胃は経過観察。
胃のポリープはがんにならないのか?
A.  大腸は1㎝未満で5%、1~2㎝だと20%ががん化するが、胃にできる過形成ポリープ(赤っぽいもの)や胃底腺ポリープ(萎縮が原因)は、1㎝あってもがん化する割合は1%未満と低い。

Q.  萎縮性胃炎とがんの関係は?
A.  萎縮性胃炎のみでは、高いリスク要因とはならない。ただ、ピロリ菌の消えた高度萎縮は別。だが、その場合でも胃がん発生は年1~2%程度。

Q.  スキルス胃がんで胃全摘を予定。術後、S-1を1年やる方もいれば、SOXを何クールやる方もいる。抗がん剤の選択の判断基準を教えて欲しい。
A.  ガイドラインではS-1+オキサリプラチンの併用療法を推奨している。次回ガイドラインでは、S-1+ドセタキセルも加わる可能性高い。いずれにせよ、(未治療<S-1単独<S-1+ドセタキセル)メリット、デメリットをよく主治医と相談して決めることが重要。

Q.  4年前にステージ3b胃・脾臓を全摘。現在CEA5~7前後だが、明らかな転移は見られない。PETをやるべきか。
A.  腫瘍マーカーは血糖や喫煙で上がることもある。マーカーが上昇していても再発指摘できない場合は、他の検査に合わせてPETを行う。自分ならやる。

Q.  HER2陽性の場合、乳がんは進行が早いとあるが、胃がんではどうか。
A.  乳がんはそのように言われているが、胃がんの場合は、HER2陽性でも、進行速度は陰性の場合と同程度。

Q.  HER2検査はいつ受けるべきか?
A.  手術が困難または再発した場合、化学療法を受ける際は早めの検査をすすめる。
そのほうが使える薬剤が増える。
術後の再発予防には通常は使わない。

その後、NPO法人『希望の会』理事長轟浩美さんがご自身の体験を話された。
ご主人がスキルス胃がんに罹患。治療が進む中、セカンドオピニオンに5回かかったことなど。
・内容
パクリタキセルは痺れが強く継続治療ができなかったが、イリノテカンがよく効き、QOLも向上した。
治療方針に疑問をもった時、セカオピは必要。
先生と病院によって差が出るが、体調がよい時に、次の治療の選択について相談した方がよい。
(治験情報が得られることもある)

医学セミナーは、横文字が多く分かりにくいが、NPO法人『希望の会』とがん情報サイト『オンコロ』のお二人が丁寧に進めてくれ、理解が深まりました。

今回の『胃がん講習会』を聴講した感想。
胃がんはステージや抗がん剤など大腸がんとの共通点もありますが、大腸がんの方が治療面において今ひとつ進みが遅いように感じました。
HER2遺伝子変異に対する薬剤や、免疫チェックポイント阻害剤等の実用化により治療の選択が増えることを願うばかりです。

そろそろ10月。
今年も残り3ヵ月!
朝晩の肌寒さが感じられ、冷えに気をつける季節の到来ですね。
個人的には熱燗が恋しいな~(ため息)





柴犬ポチ🐶