こんばんは。
今日も酷暑の1日。
この暑さ、まだまだ続きそうですね。

さて、
7月14日(土)秋葉原で行われた、
『肺がん市民フォーラム2018
     ~知ることから始める自分にあった肺がん治療』
に参加してきました。
今回も大盛況。満員の会場。
登壇された先生方も、医師、患者、薬剤師、臨床心理士…と多彩。


⚫️「肺がんの疫学と予防」
久保田馨先生     日本医科大学付属病院がん診療センター長

1930年~   男性死亡率上昇
1950年       喫煙との関係
               1日25本以上で50倍以上の罹患。
50年代は扁平上皮がん(肺中心部に出来やすい)であったが、最近では腺がん(肺の端に出来やすい)が目立つ。
フィルター付きタバコの登場で、粒子が細かくなったことが関係か(受動喫煙も高まる)
因みに非喫煙者肺がんは、幼少期の受動喫煙が関与とか。
また、喫煙者が吸うのを主流煙といい、
タバコから立ち上がる煙を副流煙というが、喫煙者が吐き出した『呼出煙』に発ガン物質が多く一番危険なのだそう。


⚫️「肺がんの検査と診断」
國頭英夫先生   日本赤十字社医療センター化学療法科部長

肺がん早期は、症状(咳、発熱、血痰など)が少ない。
進行期になると、臓器に欠落症状が出る(がんが正常な臓器機能を阻害して起こる)
声出ない、息苦しい、飲込み悪い…等。

CTは、画像なので騙される部分もある。
やはり、病理検査での診断が治療の決め手になる。
・組織診や細胞診
・癌のタイプ(組織型、バイオマーカー)
ここでがん細胞の形の画像が登場。
小細胞肺がんと、非小細胞肺がんでも各々(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん)で、細胞の形が全く違っていたので、ビックリ!
バイオマーカーとは、遺伝子レベルでがんが増殖するメカニズムを知るためのもの。

腫瘍マーカーは診断において、当てにならない。検診時はやめた方がよい。
しかし前立腺がんならば役立つらしい。

手術における根治度とマージン(切除縁)率について。
・ギリギリ取ったは不可。
・切除した一番先のリンパ節に転移がなかった時に、はじめてOK。


⚫️「肺がん治療の最前線」
久保田馨先生(前述)

1.  薬物療法は、細胞障害性抗がん剤
2.  分子標的薬(がん遺伝子をしっかり調べて行う)
3.  免疫チェックポイント阻害剤
4.  遺伝子異常を基にした個別化医療

肺がんでも、幾つかの遺伝子がわかり、効果のある薬剤が登場している。
小細胞肺がんに対して、1.が主流。
非小細胞肺がんは1.2.3.とリーズナブルな対応。
3期に対しては、化学放射線療法、免疫療法。
4.に対しては、まだかなり限定的だが、一日も早く保険診療で調べられるよう、期待したい。


⚫️「一所懸命、自分らしく」
水野ゆきさん    肺がん患者12年生。

2007年2月に左肺下葉に3㎝を超えるがん発覚するも、心臓の虚血により手術不可で退院。
他病院で手術可能と診断され、2007年5月に切除手術。
ステージ3bの進行性腺がん。
2014年に左肺上葉に腫瘍が見つかり、胸腔鏡下手術を受けステージ1の原発性肺がんと判明。
現在は、右下葉小結節ありで経過観察。ヘルプマークを着けつつも「介護実務者研修」のため職業訓練校に通われており、とても元気に過ごされている。


⚫️「肺がん治療のトピックス」
久保田馨先生(前述)

高度催吐性化学療法
・パロノセトロン
・デキサメタゾン
・アプレピタント他

肺腺がん遺伝子割合
・EGFR  53%、KRAS  8%、ALK  3%、
    BRAF    1%、 ROS    1%

このうち、EGFR変異あり、かつ「非喫煙女性」腺がんの症例に対して、分子標的薬ゲフィニチブ(イレッサ)が有効とされている。

しかし、一定期間経つと増悪に転じ、遺伝子も変異するのでオシメルチニブが検討されている。9月から処方可能らしい。

この後の増悪(変異)に対しては手がないのか。以下の情報は、本講義とは別。

がん研有明病院の片山量平先生が
 ALK阻害薬として開発が進んでいるブリガチニブが有効であることを発見。これと大腸がん分子標的薬(セツキシマブまたはパニツムバブ)を併用することで効果増強との記事があった。
やはり、がん種を越えた治療の何かがある思えてならない。


⚫️「免疫療法」
國頭英夫先生(前述)

そもそも『免疫』は、効いて欲しい時に、効いて欲しい場所で、相手に効いてくれないと、意味をなさない。
がん細胞は、悪賢いため、免疫細胞からの攻撃に対して、ストップをかけるように、シグナルを偽装してしまう。
免疫細胞は、それを見て立ち止まり、スゴスゴと引き下がってしまう。
そこで登場したのが、オプチーボに代表される免疫チェック阻害剤。
有効率は、20~30%。
抗がん剤も分子標的薬も耐性ができて効かなくなるが、効く人には1年、2年それ以上長持ちする(ホームラン級!)

問題は、
・どういう人に効くか分からない。
・いつまで使えば良いか分からない。
・効かない人に諦めてよいのか判断がつかない。
副作用については、免疫が上がる方向に働くので、様々な副作用をチェックして対策が必要。間質性肺炎、脳炎…様々な炎症反応があり多岐にわたる。


⚫️「がんになっても充実しています」
森雅人さん   肺がん患者3年。

2015年に肺腺がんステージ3a告知を受け治療開始。化学放射線療法によりほぼ寛解に至るも再発。治療継続が厳しい状態まで進行した。
2015年より免疫チェック阻害薬に取り組み、病状回復。現在は群馬県がんピアサポーターとして地域のがんサロンやNPO法人肺がん患者の会ワンステップに参加。仲間の支援に携わっている。
2ndライン…シスプラチン+アリムタ
3ndライン終了時には、体力落ち込み、ペットボトルの蓋も開けられなかった。
今、改めて思うのは、がん患者でも「健やか」に過ごしたい。

1.  まず、除痛!
今も医療用麻薬オピオイドを使っているが、痛みがないと精神も安定する。薬は怖くない。

2.  副作用対策として、治療日記をつけている。何を食べ、どんな薬を飲んだか。
体で感じる症状など。

3.  大事を取りすぎない。
ムリのない筋トレをやったが、普通に戻るまで2年かかった。

最後に、患者会などに参加して、仲間を作ったり、正確な情報収集をして欲しい。
「知らなかった」は後悔を生むだけ。
そして、時間とのせめぎあいを制してください。とのお言葉で締めくくられた。


と、ここまでで第1部。
お一人ずつ、10分位のお話でしたが、とても内容が濃く、勉強になりました。

休憩を挟んで第2部なのですが、長くなりましたので、それはまた次回へ。







柴犬ポチ🐶