仕事で昼間、外出した時のこと。
取引先への挨拶のため2つ先の駅で、下車しようとボックス席に座っていると、2人連れの男性が乗ってきて、目の前に座り、会話をはじめた。
年齢は70歳位(痩せている)と、もう一人は60歳位だろうか、体格がよく、がっしりしている。
聞くでもなく会話が耳に入ってくる。
「で、その後どうですか?」年下の男性が問いかけた。
すると、70歳位の男性がメモ用紙を取り出して
『点滴でゲムシタビンをやっているけど、つらくて…』
名前を聞いて、最近、にわかに得た知識で、抗がん剤であることがわかった。

(がんを患っていらっしゃるのか…)

二人の会話に身を乗り出さんばかりに、聞き耳をたてていたせいか、年下の男性と目が合ってしまった。
がんに罹患された男性の方は、穏やかに話されていたが、頬がこけ、少し、元気がない様子だった。
「でも、一時に比べ顔色がよくなりましたね」
『この病気(すい臓がん)は、症状が出た時は遅いと言われてるんだよ』
話しを聞いている内に、罹患された男性に共感し、私も大腸がん患者であることを、言い出しそうになった。
二人の関係はわからないが、年上の男性は余程、聞いて欲しかったのか、その後も、自身の近況を淡々と話された。
「どんな症状だったのですか」
『私の場合、背中の痛みとかは無かった。しかし、ある日から尿が…』と言いかけた時、タイミング悪く、電車が目的の駅に着いてしまった。ドアが開く音がして、あわてて立ち上がったが、実は、今でも気になって仕方ない。できれば経過をずっと聞きたかったのだが…。


がんの早期発見が大事なのは言うまでもない。だが、症状は、個人差があって必ずしも一様でないこともある。
肩が痛い、脂汗がでると感じても風邪程度と受け止め、多くの場合見逃しかねない。
実際の患者から得られる情報は貴重であり、特に発見が難しい症例や希少な疾患ほど、書籍などでは得にくいのでは、と思う。

他方、がん早期発見に様々な検査が登場している。(『先端医療』サプライズbookより)

なかでも、
・犬の嗅覚により、がんを発見する方法『DOGLAB(ドッグラボ)』が目を引いた。

海外のケースは耳にしたことがあるが、国内で導入済みとは知らなかった。
山形県金山町では、がん探知犬による健康診断が行われている。胃がん発症数が多いのが契機となったようだ。

ちなみに、日本医科大学千葉北総病院の実験によると、5人の尿から1人のがん患者を見分ける作業を334回行ったが、がん患者の尿を333回選んだという。(99.7%の確率で的中)

(がん探知犬による測定の流れ)

1.探知犬にがん患者の臭いを嗅いで、覚えさせる。

2.利用者の呼気を並べ、端から順番に嗅いでいく。

3.複数回嗅ぎ、健康の場合通り過ぎるが、がんの場合は座って合図するという。

※実際に、目の前で座られたら、たまったものではないが…(笑)


費用は5万円程度。部位の特定ができないのが難だが、腫瘍の有無は判別がつく。陽性であれば、この後、血液やレントゲンで絞り込めばよいことになる。


また、国立がんセンターでは、血液からがんを発見する方法(リキッドバイオプシーの応用)も実用化に向け、研究が進んでいるという。
できれば、症状がでる前にわかりたい。


2人に1人ががんになる時代。
1人で2つのがんになるのも珍しくない。
現に義父は3つのがんを患った。(60代で皮膚、70代で大腸、80代で胆管)

余談ではあるが、遺伝子外来に話しを聞きに行った時に、義父のことを話すと、奥さんに定期的ながん検診を勧められた。やはり遺伝性なものもあるのだろう。しかも膵炎の既往がある。

がんに罹患した自分だが、家族がならないという保証はどこにもない。
自分は定期的に検査がある。
彼女にも早めの定期検診を勧めた。
備えあれば、憂いなしである。





柴犬ポチ🐶