私が通院している大学病院は、高度先進医療を扱う特定機能病院です。

特定機能病院の定義は、
病床 400以上、診療科 16以上。
手厚い人員配置、医療安全管理体制  等
の診察能力を保有。また、
高度医療として、先進医療や指定難病への取組をはじめ臨床検査・病理診断の実施を行なうなど
全国で85病院が承認されている。
(平成29年6月1日現在)

しかし、私の場合、自宅から一番近い大学病院を選択して受診したに過ぎない。

ところで、癌種によっても異なるが、がんのステージ4は、最低5年間寛解状態が継続すれば一応完治と言われる。
長い闘病の中で、今の病院のまま検査や治療が進み、終わればよいのだが、そんな保証はない。常にリスクを意識しつつ転院先はどこが適切かと考える。

そんな折りに興味を惹く記事がありました。
『医師がホンネで教える診察のウラ、病院の選び方』(洋泉社)  の中に
「フリーランスの女性麻酔医が教える失敗しない医師・病院選び」

フリーランスの麻酔科医、筒井冨美先生が寄稿。フリーランスの麻酔科医といえば城之内先生!と思い当たるが、筒井先生は、その「ドクターX~外科医大門未知子」の制作協力もされているとか。
ご自身もフリーランスで10年、100以上の病院を渡り歩き、数多の外科医と様々な手術をこなし、医局を見てきた体験やウラ事情など面白い記事でした。

以下、ポイントを絞り、自分の通っている大学病院を検証してみます。

其の1
病院をHPで情報入手する場合、受診する診察科を確認したら、次にその病院の得意分野を探ってみる。
病院は得意分野の記載に力を入れる所が多いらしいので、診療科ごとの記述を見れば、自分の病気とのマッチ具合が測れる。
例、昨年実績、卵巣がん○例  とか…

早速HPを見てみると、現在受診中の消化器外科は新しい術式に挑み、人材を肩書き順にフル掲載。専門医を消化器の各パーツ(上部・下部・肝胆膵)に配置するなど、組織体制の磐石さがPRされている。
しかし、それに比べ呼吸器外科は残念なことに一般外科に組み込まれ、実績に関する記述も希薄。担当医については出勤表で確認できる程度。
大腸から肝臓の今は安心だとしても、もし肺転移であったら?
担当医も略歴も不明。
その先生に託せるのか考えてしまう。


其の2
外科医の手技以上に求められるのが診察の力

内科での造影剤エコー検査で嬉しい出来事がありました。

肝臓に転移が見つかった時のこと。
ひとつは確実にがんだが、ほかにも数個怪しいモノがある、と言われた。
3種類(CT・PETCT・MRI)の画像検査を行ったが、映っていた3個の影が良性のものか転移なのか特定できなかった。そのため急遽内科医に追加検査を依頼したのだった。
数㎜単位のモノはCTでは捉えづらいという。内科医は冷静に機器を操り、画面を見つつ、私の心の祈りよりも先に小声で発した。「…良性であってくれ~…」
外科で確定できないモノを確実に診断しなければならない使命感と、患者への憐憫の情が言わせたのかもしれない。
何度か角度を変えて腹部を診たあとで、内科医は確実なモノ以外の影は嚢胞または血腫と診断を下した。
この時の先生の研ぎ澄まされた眼力(洞察力)が後に凄かったことに気づく。
肝転移切除はひとつだけ、残りは手付かずにしてあったが、術後6ヶ月のCT検査で影は大きくなることなくその場にあった。
たった1回の診察でよく顔も覚えていないが、その先生の存在は今でも忘れられない。
消化器内科の先生の技量と人間的な気遣いや温かみはどの患者にも嬉しいものだし、早期の段階で発見できる内科医はやはり偉大だと感じた。


其の3
新医師臨床研修制度に見られる大学病院の姿

平成16年新医師研修制度により、それまで伝統的に自分の卒業した大学の付属病院に就職していた研修医は自分の就職先を自由に選択できるようになりました。
研修医の希望選択は単に給与等の待遇面ではなく、
例えば、
⚫️プライマリ・ケア(何でも診てくれる総合医療)が充実している病院
⚫️手技が沢山できる、最先端医療を行える病院   
…など、自分がやりたい事ができるプログラム内容や指導体制であることへの関心が集中する。
つまり、研修医のニーズが高い病院が良い病院とランクづけされるそうです。
ちなみに平成29年研修先別大学病院ランキング第1位は、

東京大学医学部付属病院 研修者127、自校者35(35って以外と少ない)
最高学府ということもありますが、本校以外からも幅広く募っているようです。
私の通院する病院は、このほぼ半分。自校者も少なく、他校から募っている。悪くないかも。(厚生労働省HP「医師臨床研修マッチング」でも閲覧可)

患者には馴染みが薄い視点での大学病院選びは面白いと思いますが、まだまだ地域に根ざした病院など、利点を主張されています。

長々と書いてきましたが、いずれにしても自己の症状に合わせ早目の対応を考えたいものです。拙速は巧遅に勝る気持ちで・・・



病院近くの土手に咲くリンドウ


柴犬ポチ🐶