1本前の投稿「キヨさんと、沖縄 沖縄(1)」に続く、発端のエピソード
沖縄の物語が、連続テレビ小説で始まっている。
物語のなかに、1ドルが360円から300円になる、というようなくだりが出てくる。ああ、そんな時代だったなあ、と思う。
「180円で買える、車の部品はなんでしょう?」
誰かクイズを出せる人? という遠足のバスガイドさんのリクエストに、僕が出したクイズ。
「ハンドル(半ドル)」、が答えのはずだった。1ドルは360円と、何度も教え込まれていた。
誰も答えられない。それを見たバスガイドさんが、僕に向かって、こう問いかけた。
「この前まで、180円だったのよね? 今はもうちょっと安いかな?」
あっけにとられて、頭がフル回転を始めた。
え、なんで? あ、そうか、そんなニュース見たかも。
1ドル360円だった時代が、ほんの少し前に終わっていた。
記憶は、いい加減だった。頭によみがえったのは、1ドル=360円の時代が終わるとすぐに「変動相場制」が始まった、というものだった。
でも、まてよ、沖縄の物語で、1ドルが300円になる、というくだりがあった…。
なぜ、360円のあとが、また「固定レート」なのだろう?
沖縄だけそういう移行期間があったのかな…と、調べてみた。
すると、1971年12月に1ドル=360円が終わり、1973年2月に日本が変動相場制を採り入れるまでの14か月ほど、ニクソン大統領が導入した「スミソニアンレート」の時代があったことがわかった。
その期間は、1ドルは308円で取引が行われていた。沖縄の物語で「300円」と耳にしたのは、308円の聞き違いだったのだろうか?
僕のクイズは、成立していなかった。
この遠足は、たぶん小学6年生の頃、1972年の5月あたりのことだったから、すでに1ドルは308円の時代だ。クイズの正しい答えは、
「(ハンドルは)180円ではなく、154円」
このバスガイドさん、すごいなあ、と僕は思った。
先生も指摘してないミスなのに…。そう思うと同時に、自分のクイズが、中途半端になってしまったことがショックでもあった。こんなにクリアに憶えているほどに。
クイズと沖縄が結びついて、記憶の連鎖が起きた。
僕は、沖縄に思いをはせ、一本前のブログ「キヨさんと、沖縄」を投稿した。
子どもの頃から身近にあった沖縄。そして、沖縄出身の人たち。
僕が彼らと出会ったのは、父の実家が営む薬局で、だった。