「指切りげんまん」は、江戸時代の遊女に由来する言葉らしい。子どもの頃には、軽い遊びのつもりの言葉だったのに(少し怖さは感じていたけれど)、なかなかディープな世界。しかも、もし自分が指をもらったらと考えてしまうと…、というのが前回のあらすじ。
ところで、このフレーズやメロディは、日本全国ほぼいっしょ?
つかわれている言葉は、その土地らしい言葉だったり、つけ足されたりとバリエーションがありそうだけれど、ちがうメロディを耳に入したことがない。
「指切りげんまん、嘘ついたら 針千本、飲~ます (指切った)」
転校したとき、最後の(指切った)に、混乱したことがあった。小学生の初期は「飲~ます」までだったのに、突然、言葉が増えていたから。メロディは同じだった。
今では、多くの地域に(指切った)があるんじゃないかなと思っている。
「飲~ます」まで、ふたりは小指をからめていて、(指切った)で、それまでよりも勢いよく指を振って、放す。終わるためのきっかけが(指切った)なのかも。
似ているのが、「じゃんけん」の「最初はグー」。
それまでは、じゃんけんしようぜ、って言ったあと、たまにタイミングが合わずに、「むーっ」って感じになることがあったから。
志村けんさんがつくってくれた言葉では? と感じている。彼が正規メンバーになった頃、僕はドリフを見なくなっていたから、不確かだけれど。それでも志村さんの印象はあるし、「最初はグー」は僕の生活にも根を張った。きっかけの言葉だからだろう。
ところで、「指切り」は、室町時代には女性用の刑罰としてあったとか。男が頸をきられる犯罪でも、女性は指をきられてすんでたみたい。すごい差! これが下地にあったから、遊女の「指切り」に繋がったとする研究者もいるみたい。
男女平等の代表みたいなアメリカにも、「指切り」みたいな習慣があるとか。痛そうなのも、痛くなさそうなのも。まず、痛くないほうから…。
小指をつかった “pinky swear” とか “pinky promise”と言われる約束。ちなみに “pinky” は小指(little finger)の愛称。”swear” は「誓う」、“promise”は「約束」。19世紀半ばのアメリカの辞書に載っているため、日本由来とは考えにくいらしい。
そのときのジェスチャーは、小指を出すだけなのか、からめるのか、からめたら日本のように上下に振るのか、いっしょに唱える言葉はあるのかとか、今、アメリカに問い合わせ中。どうやら「からめる」ことはするらしい…。
なお、ベトナムとか韓国とかにも「小指の指切り」があるみたい。親指もつかうらしいなど、こっちもぼんやり、この近くにはベトナム人がたくさん暮らしているから、今度、聞いてみようかな。
最後に「痛い指切り アメリカヴァージョン」。
僕は嘘をついてない、誓うよ、というのを、こんなふうに約束するみたい。
I’m not telling you a lie. I’ll cross my heart and hope to die, stick a needle in my eyes.
嘘はつかないよ。神に誓うよ(胸に十字を切るよ)。(嘘だったら)死んでもいいし、目に針を突き刺してもいい。(という意味だと思う)。
怖いでしょ? さらにこの言葉は、ペスト流行時にできたものだとか。
みんな感染したくないから、ちゃんとは死んでいないのに、もう埋めちゃえって、埋められちゃうペスト患者が続出したため、「埋葬の前には埋めないよ、目に針を刺してみて、死んでることを確認するよ」というのが由来らしい。本当かなあ…。
痛いうえに怖い!
結局、約束は、痛みとともにあるのか?
「げんまん」は「拳万」。こぶしを1万回。「針千本、飲~ます」は、もちろん「縫い針千本を飲ます」。どっちも、「指切り」に負けずに、痛そうだ。