かつて、自民党副総裁だった金丸さんの事件にからんで、×原という秘書も逮捕された。彼は、落語立川流の談志師匠の弟子だった。たぶん一般コースの。

(立川流には、授業料さえ払えば、弟子になれる「一般コース」的なものがあった。今でいうサポーター制度の走りみたいなシステムだと思う)。

 

×原氏が逮捕された直後に、談志師匠の独演会に行った。

「いや、どうも。すいません、弟子の×原がお騒がせしてます」

客席、笑い。すかさず、談志師匠が口調を変えて、

「だけどな、いいじゃねえか、せこくやったんじゃねえんだから、2億、3億もってたんだろう、立派だよ」

一息入れて、

「せこくやりゃあ、おれだって怒るよ。でもあれだけでっかくやったんだ、ほめてやりますよ」

 

ずっと頭に残っていた話。もう30 年近く前の話だと思う。

 

河井夫妻の選挙違反の報道とともに、僕の頭を、この逸話が何度もリフレインした。

 

1億5000 万円が自民党本部あたりから振り込まれて、それを原資に、市議や市長に票のとりまとめをお願いしていたのではないか、というのが、事件のあらまし。

「確かに受け取った」と言って、潔く辞職した市長さんもいる。

配った先は100 人にものぼるといい、多くが検察の調査に、白い封筒をもらったと答えた。

 

河井の逮捕時に報道された数字は、「101 人に2570 万円」だったか…。

 

「ざっくり考えて、市議や市長ひとりにつき、25 万円。

せこすぎるよ。渡されたほうだってたまらないよな。災難としか言えない。

だって、25 万円ぽっちで、河井に人生を買われちゃう、みたいな話だよ。

ばれたら、市議や市長の職を失うかもなのに、たった25 万円かよ!」

 

市議さんや市長さんにとって、同じ地盤の国会議員は「大先生」なんだろうね、きっと。

その関係性を利用しての票のとりまとめ。

 

ただ問題はここから。

面識のない人にまで白い封筒を持って行って、それはいただけません、と言っても、無理に置いてきたらしい。領収書を出しますといっても、断ったらしい。

 

封筒を置いて行かれたほうにしたら、ただただ気持ち悪いカネ。

言うことを聞かなきゃならないのかも、とも思うし、それまでに会ったことのない人に票の取りまとめなんてしてやる義理もないし、の板ばさみ。

 

しかも下手に扱ったら、政治資金規正法に抵触するけど、領収書も出させてもらえない…。

返却しようにも受け取ってくれない。当然、僕でもこうすると思う。

「白い封筒のまま、手をつけずに保管する」。

 

人の人生を、25 万円ぽっちで買おうとした、そのメンタリティ! 何様のつもりだ。

同じ地盤の地方議会の方々は、本当に不運だったと思う。

人の人生にリスクを負わすなら土下座でもするか、それなりの金額が必要だろ!

 

上からの立場を利用するのが大好きなうえに、

こんなに、ほかの人の立場に思いを致せないやからに、国会議員なんて無理。

とっととやめろ! 人として最低だ。本当に腹が立つ。

 

追記。

元法務大臣なのに、これ、反社会勢力のやり口でしょ。

親分が反社会勢力を花見に呼んでるから、そういうやり口をよく知ってるのかも、ハハハハ。

…あーあ、また政治ネタ書いちゃった。書かないつもりだったのに。河井の馬鹿野郎!