昨日から今日にかけて、Yahoo! News のコメント欄を、初めてつぶさに読み込んだ。

 

せいぜい30代後半くらいかな、と思える人からの気になるコメントがあった。

「固定電話を持っている比較的高齢な人たちが、安倍さんを支持しているから、40パーセントの支持率を維持しているのだろうけれど(後略)」

 

え、若い人はそう思っているの?

 

僕は、ウェブ戦略や、生まれて以降の社会情勢の影響で、若い人に安倍支持が多いのだろうと思っていた。

 

たとえば国会答弁では、質問に真摯に答えず、ずれた答弁を繰り返すか、役人の用意したペーパーを何度も棒読みし、突っ込まれると野党や質問者への批判など、別の話題にすり替えて時間を無駄づかいする安倍さんの姿が頻繁に映し出されている。リタイアした高齢者や主婦やフリーランスなど、テレビで国会中継を見られる人は、その姿にあきれる人が多いと思う。

 

一方で、国民が信頼感を持つ山中教授と、ニコニコ動画などに登場する安倍さんは、自分の言葉ではきはきと話している。こんな姿はテレビでは見られない。ネット上では彼は「真摯で身近な首相」を演じてみせる。こうした戦術が功を奏してネット上の若者の支持率が高いのだろうと感じていた。

 

そういう若い人たちから支持を集めているからこそ、どんなに失政を繰り返して、お友達や仲間内には甘い政権でも、ずっと40パーセント以上の支持率があるのだろうと思っていた。僕が「なんでこの人がこんなに人気があるんだろう」と理解できないのは、僕の意識が、若い人のそれと乖離しているからだ、と思っていた。

 

若い人は安倍さん好き、と思う理由として、僕はふたつのポイントを考えていた。

ひとつは自民党のweb 戦略は野党のどこよりも早くから行われていたらしいこと。

また、ウェブ誕生以来、ほぼすべての期間、自民党が政権を担い、許認可なども自由にできたため、自分たちの理念に反する意見を細かいところで抑え込むテクニックや、自民党の理念を深層心理下でネットユーザーに訴えかける仕掛けをつくることができたに違いない。だから、そうした影響を強く受けてきた、ウェブ誕生後に生まれた若い人たちには、自民党好きの人が多いのだろう、と感じていた。

 

もうひとつは、この20年、日本は中国や韓国、そしてアメリカをはじめとするアングロサクソン系の国から(ほかにフランスやロシアなどもだが)、ずいぶんやいやいと言われてきた点に起因する。

成長する過程で、つねに外国から「お前の国はここが悪い」と言われ続けていたから、中国や韓国に強い姿勢を示す安倍さんが登場したときに、待ちわびた政治家として彼をみなしたのかもしれないと感じていた。中国の国家主席が変わってからは、とても中国にすりすりしているけれど。

 

でも、冒頭のコメントを読むと、違うのかもと思う。

かといって、僕が知り合っている人たちからの口ぶりでは、高齢者が安倍支持とも思えないのだ。

 

僕はこれまでに、いわゆる団塊の世代の人たちから何度か同じ感想を聞いている。

「あいつは、俺たちが築き上げてきたものを、ひとりで台無しにした」

僕は、とくにこの世代と親しいわけでもないけれど、'70年安保をくぐり抜けてきた現在70歳前後の人たちは、自分たちの世代がこの国をつくってきたという自負を持っているように感じる。

そんな彼らは、安倍さんを「ひとりで国を台無しにした」張本人と感じているみたいだから、この世代の支持率は高いはずはない、と思う。

 

もっと下の、ひとまわり下の世代は、僕の年齢とも重なるので。ある程度、わかる。

与党支持の人もいるけど、僕の暮らす都市部では、「積極的な与党支持」は、あまり多くない。少なくとも僕の周囲は、無党派層が70パーセントくらいいると思う。そして現在、無党派層の安倍支持は10パーセントもないと思う。連立与党支持の人に目を移しても、安倍さんはもう…、と考えている人もいて、僕の知る限り、支持率のつじつまは、どうしても合わない。

 

じゃあ、いったい誰が40パーセントにまで引き上げているのだろう?

(つづく)