
S13シルビア。1980年代後半の大ヒットモデルである。デザインはジウジアーロ。さすがである。ターボモデルのK’sとノンターボモデルのQ'sが存在した。後になって、装備を簡素化したJ’sもでたと記憶している。兄弟車は180SX。180SXは北米に240SXとして輸出された。
この頃のわが家の話しである。両親が話していた。「腕のいい職人さんに来てもらうのならば、日当はせめて2万5000円はお支払いしないとね」と。これが80年代の後半である。1989(平成元)年の福岡県の時給が447円くらいだったと記憶している。夜間のバイトの時給はもう少し高かった。「1989年当時は、コンビニや飲食店、工場夜勤などのアルバイトが多く、深夜帯は手当込みで700円〜800円台が一般的」(ネットより)。
サラリーマンのご家庭の子息は福岡県の時給で物事を計算していた。わたしもそうなのだが、一方で家が自営業だったので、腕のいい職人さんの日当の相場も知っていた。2万5000円の日当を8時間で割ると、時給は3125円である。ちょうど2000(平成12)年にビルの建設現場で現場監督さんが「ビルの建設現場の電設工事で、資格を持った職人さんを呼んだら、日当は4万5000円だ」とつぶやいていた。8時間で割ると5625円である。
わたしは経営者さんの見識に一目も二目も置く者なのだが、あえて言いたい。1日8時間で3万円(時給3750円)で人を雇わないといけない時に、派遣会社を間にかませて派遣社員に来てもらう。派遣社員は1日8500円くらいの日給月給。23日働いたとして19万5500円。これでいいのだろうか?と。
この給料(月に20万円前後)で「結婚」・「子育て」・「携帯電話料金の支払い」・「クルマの購入」ができるのだろうか?「勉強しなかったから、不利な労働条件で働く。当然のことだ。それで何か問題でも?」。問題大ありである。若者が誰もクルマ・バイクを買わなくなった。スポーツカーはもともと北米市場でしか成り立たない分野だ。しかし日本の若者は頑張って「フェアレディZ」「スカイラインGT-R」「RX-7」を買っていたではないか。
さて、5代目のS13 シルビアである。ZやGT-Rは変えないけれど、頑張ってシルビアを買おうと考えていた若者はいたではないか。ターボモデルには予算が届かずに、ノンターボモデルを買おうと思っていた若者もいたではないか。彼らは今の若者とほぼ同世代だった。何が違う?どこが違う?
「若いヤツの中から出来るヤツが出てこない。そうゆうヤツは正社員として雇用したいのだがな」という声がある。もう少し先行投資はできないものか?
「今の若い奴はダメだ」そうかもしれない。しかし原因と結果を入れ替えていないか?若者に「罪」や「過失」をなすりつけてはいないか?本当は「俺達が若者に対する初期投資や福利厚生、それなりの給与体系を削ったので、若い奴が出てこれなくなっている」のでは?
アメリカの某日系自動車会社の工場のライン工は時給5000円を超えている。わたしはTVでその工場のライン速度を拝見したが、明らかに日本の工場のライン速度よりも遅かった。それでアメリカに進出した某日系企業はそれなりに収益をあげているのである。利益を生まなかったらその工場は存在していないはずなのだから。
もしかしたら、日本は搾取が厳しい社会なのかもしれない。そして、労働者の天国は、実はもうアメリカ合衆国の日系自動車工場の内部で実現されていたのかもしれない。8時間働いて日当が4万円。23日働いて月給が92万円。ぐぬぬ。わたしがあと10歳若ければ…。本日も晴天なり。
