こゆきを抱っこして通る

とある家の犬小屋がなくなっていた

 

 

その家のお母さんが

入院するまでは

家の中で可愛がられていた

真っ黒なわんこ

 

 

お母さんが一日何度も散歩し

愛されていたわんこ

 

 

いつの間にか外に出され

つながれたままで

お母さんの長期入院を知った

 

 

家族の誰も見向きもしなかったが

それでも家族が外にいると

足元にまとわりつこうとしていた

 

 

なるべく声をかけて・・・と思い

外にいるお父さんに

何度挨拶しても声をかけても

無視する人だった

 

 

近所の犬友さんと

散歩の申し出とか

お世話の申し出とか

犬の扱いのお伝えとか

いろいろ考えた

 

 

でも、老人の一人暮らしではなく

若夫婦や孫もいる

 

 

そんな家庭に口を出すと

私達の言葉ひとつで

保健所に連れていかれることも

容易に想像できた

 

 

 

この猛暑を外で

乗り越えられるとは

思えなかった

 

 

 

 

どうなったのかはわからない

でも犬小屋はなくなった

 

 

 

 

 

 

何もできなかった

 

 

 

 

 

 

やるせない思いだけが残っている

 

 

 

 

 

 

 

せめてここに

その子の存在を記しておきたい