昔、ヨーロッパのどこかで”最高のクラシック音楽”というアンケートを行った結果、ビゼーのオペラ「カルメン」が選ばれたということを読んだことがあります。

 

それを書いた人も記事の中で”日本人とは全く感覚が違うんだ”という感想を書いていましたが、私も日本だったら少なくともオペラは選ばないだろうと思います。

 

そもそも「オペラ」を舞台無しで音だけで聴くということに意味があるのでしょうか?

 

今はyoutubeで数々の「オペラ」を楽しむことができます。そしてやっぱり「オペラ」は舞台無しでは物足りないということが実感出来ます。

 

私のお勧めはカール・ベームがウィーン・フィルを指揮したモーツァルトの「フィガロの結婚」です。

 

これは舞台そのものではなく、映画風に撮影されていて話の筋に従ったカメラワークも素晴らしい。

 

ベーム/ウィーン・フィルの文句の付けようのない序曲が終わって、結婚式を前にしたスザンナとフィガロがふざけ合い、そしてスザンナから伯爵の企みを聞かされる、この場面の目まぐるしいまでの楽しさは、モーツァルトの書いた全ての音楽の中でも特に素晴らしいものでは無いでしょうか。

 

開始からその場面までをご覧下さい。ちょっと長いですが夢中になること請け合いです。

 

ミレッラ・フレーニ演ずるスザンナの可愛らしいこと。フィガロはヘルマン・プライの当たり役。

 

しかし特筆したいのは、スケベな伯爵を演ずるフィッシャー=ディースカウの演技の素晴らしさ。この人は若いうちからフルトヴェングラーにその才能を認められただけあって歌も上手いとは思いますが、その演技力は役者はだしです。

 

城内で女性を追いかけ回す思春期真っ只中のケルビーノが、スザンナに迫る所に突然伯爵が現れる場面。

 

「フィガロの結婚」は歌だけでなくこういった会話が多用されているのも馴染みやすい理由です。そしてこれも密かにスザンナを狙う音楽教師バジリオを加えた見事な三重唱までお楽しみ下さい。

 

このオペラは登場人物も多く色々な伏線が張られていくのも面白く、最後は何だかんだとハッピーエンドを迎えます。

 

大詰めの場面、スザンナと伯爵夫人が共謀して伯爵を懲らしめようと、お互いが入れ替わって伯爵を呼び出しますが、そこにフィガロが登場し…、お楽しみ下さい。

 

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「フィガロの結婚」、モーツァルトの極上の音楽の宝庫。是非この動画で全編をお楽しみ下さい。