今回も”私のお気に入りの一枚”です。
カラヤン/ベルリン・フィルのショスタコーヴィチ「交響曲第10番」のCD。
1966年の録音で、この後再録もしているようですが私にはこれで十分すぎるほど美しい。
🔷ショスタコーヴィチの交響曲
ショスタコーヴィチの交響曲では、私の人並みに「第5番」から入りました。まだこの曲が”革命”と呼ばれていた昔のことです。確か今はもう手元にありませんが、シルヴェストリとか何とか言う指揮者のレコードだったと思います。
当時そもそも「第5番」以外の曲は録音自体少なかったんじゃないでしょうか。
それからかなり経ってルドルフ・バルシャイの「第7番」が雑誌上で話題になり、興味を引かれ買っています。それからは「第5番」はそっちのけで「第7番」ばかり何年も聴いていたものです。
ある時、カラヤンがショスタコーヴィチが録音していることを知り、遅ればせながらと手に入れたのがこのCDでした。
もう、圧倒的な衝撃と感銘を受けました。
そのまたかなり後になってショスタコーヴィチの交響曲を全部聴いてみたりしましたが、「第10番」ほどの衝撃を受けたものはありませんでした。
🔶カラヤンのショスタコーヴィチ
カラヤンは結局ショスタコーヴィチではこの「第10番」しか演奏しませんでしたが、グラモフォンのレパートリー委員会では「第5番」や「第8番」も候補に上がったこともあったそうです。
私としては「第7番」、やって欲しかった。
カラヤンのマーラーがそうであったように、また違った視点での「第7番」になったことは確かだと思います。
さて、私が「第10番」にそこまで肩入れしているのか。
ショスタコーヴィチは「証言」の中で書いてあるように、”私の交響曲は墓標である”と語っています。「証言」自体、今はその信憑性が疑われていますが、確かにそんな面があると思います。
ただ唯一そうではないと思われるのが「第10番」です。そもそもこの曲はスターリンの死を受けてショスタコーヴィチが多分に解放された気分で書いた曲。この「第10番」はショスタコーヴィチにしては珍しい純音楽的なものだと思います。
バルトークが「管弦楽のための協奏曲」の中で、ショスタコーヴィチの「第7番」を皮肉っていますが、この曲はそれへの回答という意味もあるのかも知れません。バルトーク以上の「管弦楽のための協奏曲」的な音楽になっています。
この曲はまた「ホルン協奏曲」と言われたり言われなかったりしますが、それほどホルンが活躍します。
カラヤンがドレスデン・シュターツカペレに客演した時にこの曲を選んでいますが、それはドレスデンにせっかくペーター・ダムというホルンの名手がいるのだからとカラヤン本人が語っています。
ちなみにこの時の録音をyouptubeで聴きましたが、それも素晴らしいものでした。
また、カラヤン/ベルリン・フィルはソビエト公演の際、ショスタコーヴィチやムラヴィンスキーの前でこの曲を演奏しています。
ショスタコーヴィチは”この曲がこれほど美しく演奏されたことは無い”と語り、ムラヴィンスキーは”素晴らしかった。ただ貴方はこの演奏をレコード聴くべきだ”と意味不明な感想を述べています。まあ、多分に社交辞令的なものだったとは思います。
とにかく曲、演奏ともに大満足の一枚なのです。
第4楽章を載せておきます。クラリネットが一閃してからの追い込みに注目です。
🔶ストラヴィンスキー「交響曲 ハ調」
このCDには、ストラヴィンスキーも入っていますが、”こんな曲も書いたんだ”程度の感想しかありません。