前回アンセルメ/スイス・ロマンドのビゼー「カルメン組曲」「アルルの女組曲」を聴いて、少々欲求不満気味だったこともあって、続けて同じ曲のレコードを聴きます。
今回は、カラヤン/フィルハーモニアのもの。
*ジャケットのサムネ写真は似たデザインのものです。
🔶カラヤンの強烈な個性が感じられる演奏
「アルルの女」組曲が始まった途端、もうアンセルメとは違う曲かのように強烈に迫ってきます。
カラヤンが演奏すると曲自体の深みが増してくるようです。
しかしその秘術はスコアに書かれた一つ一つのフレーズ、音符をカラヤンが思う通りに徹底的に磨き上げた結果に過ぎません。
カラヤンを演出過剰とか批判する人もいますが、はっきり言えるのはカラヤンは演出などという底の浅いことは決してしなかったということです。
ただ、全体を見渡した設計の確かさ、造形の確かさが群を抜いていること、そのバランス感覚が優れているのは確かで、それを演出と間違って捉えられたのかも知れません。
カラヤンの成功をやっかみ?ベルリン・フィルとの演奏を厚化粧とか批判する人は、”しかしフィルハーモニア時代のカラヤンは良かった”などと訳の分からないことを言います。
カラヤンはフィルハーモニア時代だろうが、ベルリン・フィル時代だろうがスコアを読む視点に変わりはありません。あるのはオーケストラの個性の違い、そしてそれに伴う録音技術の進歩だけです。
🔶ビゼー アルルの女「第1組曲」「第2組曲」
このレコードは「カルメン」がない代わりに「アルルの女」の「第1」「第2」の組曲が入っています。
カラヤン/フィルハーモニアのシンフォニックな演奏は一々見事なものです。
「第2組曲」は実際にはギローが編曲したもので、「アルルの女」以外からの音楽も含まれますが、こちらの方が有名です。
第3曲のフルートの美しい旋律は歌劇「美しきパースの娘」から編曲したもので、第4曲のファランドールへと続きます。
その部分を聴いてみて下さい。
このレコードにはグノーの歌劇「ファウスト」」から「バレエ音楽」も入っていますが、それも美しいものです。