今回は、ビーチャム/RCAビクター管弦楽団によるプッチーニの歌劇「ラ・ボエーム」」のレコードです。
🔶ビーチャムの「ボエーム」から聴こえてくるもの
「ボエーム」はカラヤン/ベルリン・フィルのレコードで知り、すぐに夢中になりました。そうして別のものも聴きたくなってビーチャムのものを買っています。
ただ、カラヤン盤で聴ける豪勢な響きに対し、ビーチャムの方は貧弱とも言えるほどの違いがあって長らく放置状態でした。
改めて聴いてみて、やっとその魅力が分かった気がします。
カラヤンのオペラでよく言われることですが、オーケストラが歌手と対等以上に扱われます。それはそれで素晴らしいのですが、このビーチャム盤ではオーケストラは全く歌手の支えに徹しています。
そして歌手陣はその支えの上で個性的な演技を繰り広げます。劇場的な雰囲気満載です。これこそ歌手たちの歌を楽しむ、というオペラ本来の楽しみ方なんだと教えられた気がします。(だからと言ってカラヤンの総合芸術的な演奏の価値が変わるものではありませんが)
🔶プッチーニ「ラ・ボエーム」
オペラ通のような書き方になってしまいましたが、プッチーニだったらこれ意外には「トスカ」しか持っていません。
「ラ・ボエーム」が魅力的に思える大きな要素が、そのオペラにしては短い長さです。これはどのオペラにも言えますが、私にはレコード3枚以上に渡るものは、まずその長さが大きな壁になってしまいます。
レコードを毎回ひっくり返すのは結構面倒な作業です。youtubeで音楽が聴けるようになったことでその面倒さから解放されたのは、そういった長いオペラが聴きやすくなったのは本当に嬉しい事です。
「ラ・ボエーム」は4つの幕で構成され、それぞれがまるで交響曲の楽章のように個性がはっきりしているので、とても分かりやすい。
第一幕:このオペラの登場人物紹介、そして主人公の二人ロドルフォとミミが出会います。
第二幕:カルチェ・ラタンの雑踏、交響曲のスケルツォのようです。
第三幕:交響曲で例えればアダージョでしょうか。ロドルフォとミミの微妙な関係性が描かれ、ここでミミの病気が分かります。
第四幕:チャイコフスキーの「悲愴交響曲」のような悲劇的なフィナーレ。
終幕、病に倒れベッドに横になっているミミの側にロドルフォや友人たちがいます。そして知らぬ間にミミが亡くなっているのを知ったロドルフォの「ミミ、ミミ」という叫びを残して幕が閉じます。