今回は、カラヤン/ウィーン・フィルによるリヒャルト・シュトラウスの楽劇「サロメ」のレコードです。

 

 

🔶文句なしの名盤

 

冒頭、クラリネットの柔らかい上昇フレーズから若い護衛隊長ナラポートの遠くに見る王女サロメの美しさを讃える声が、しばらくして用水溝に幽閉されている預言者ヨカナーンの低く力強い声が聴こえてくる辺りのシュトラウスの筆運びの巧みさ。

 

カラヤン/ウィーン・フィルが美音の限りを尽くして聴かせてくれます。

 

ブログのタイトルを始め、”美演の極み”と書きましたが、それを”美音”に書き直しました。美演と美音、どちらが上か分かりませんが、やっぱり美音と言いたい。

 

歌手が何を歌っているか分からずとも、その場の雰囲気がシュトラウスの音楽だけで伝わってくるようです。

 

🔶リヒャルト・シュトラウス 楽劇「サロメ」

 

歌劇ではなく楽劇、楽劇はワーグナーが考えた舞台、美術、音楽の総合芸術です。

 

”歌手が何を歌っているか分からずとも”と書きましたが、劇の大筋は押さえておきたいところです。

 

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まず、舞台は「紀元前30年頃、ガラリヤ湖に面したユダヤの領主ヘロデの宮殿のテラス」で、そこで行われた宴会での一部始終です。

 

主人公サロメはヘロデの妻ヘロディアスの連れ子。妖艶な美しさを持ちます。

 

もう一人重要な人物が預言者ヨカナーン。危険人物として宮殿の用水溝に幽閉されています。

 

簡単に言えば、サロメに邪な思いを持つヘロディアスが宴会の場でサロメに踊るよう求めますが、サロメは断ります。ヘロデは踊ってくれたら何でも望みを叶えると言って、遂にはサロメは踊ることになります。

 

サロメの踊りの場で演奏されるのが、有名な「7つのベールの踊り」です。その名の通り、サロメが順々に衣服を脱ぎながら踊るシーンです。

 

いざ、踊りが終わってヘロデが望みを聞くと、サロメは”ヨカナーンの生首”を要求、困惑したヘロデは他のものにするよう説得しますが、遂に折れてヨカナーンの首を銀の皿に乗せて持って来させます。

 

生前のヨカナーンに口づけを求め断られていたサロメは満足そうに、ヨカナーンの生首に口づけをします。

 

その恍惚の表情を見たヘロデが「あの女を殺せ!」と命令して劇は幕を閉じます。

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何とも不気味な話ですが、シュトラウスが付けた音楽の見事さには驚くしかありません。

 

さて、どこを聴いてもらいましょうか。冒頭と終わりを乗せておきます。

 

まずは曲の始めからヨカナーンの声(歌)が聞こえてくるあたりまで、色々聞こえてくる声はナラポートであったり、小姓であったり、兵士であったり、とにかくサロメの妖艶さを口々に話しています。

 

 

最後の大詰め、恍惚としてるサロメを見て、ヘロデが妻に「あの子は怪物だ」と言い、「私はもうここには居たくない」と妻を連れて去ろうとしますが、一人サロメが「ああ、私はお前の口に接吻したわ」と話すのを聞いて、「あの女を、殺せ!」と命令し部下たちがサロメを取り押さえた所で幕。

 

 

やっぱり、最後に「7つのベールの踊り」は乗せておきます。切なげで魅惑的な旋律があったりと聴きどころ満載です。