今回は、プロコフィエフの「交響曲第7番」と「ロシア序曲」が入ったレコード。マルティノンがパリ音楽院管弦楽団を指揮したものです。

 

 

プロコフィエフの交響曲は今もって殆ど聴かないのですが、レコードは輸入盤なので安かったから買っておこうと思ったものです。

 

レコードを聴く前には中性洗剤で軽く洗うということをしますが、レコード中央のレーベルは大体樹脂製なので水は弾きますが、このレコードはレーベルに水が染みてきてしまってびっくり。乾いたら跡形も無かったので安心しましたが。

 

🔶プロコフィエフ「交響曲第7番」

 

元々プロコフィエフの音楽には馴染みがないのですが、唯一「ヴァイオリン協奏曲第2番」だけは全てのヴァイオリン協奏曲の中でもベストを争うものと思っています。

 

愛知に住んでいるので時折名フィルのコンサートに出掛けたりしますが、以前この協奏曲をやるというので聴きに行きました。メインがショスタコーヴィチの「交響曲第10番」と私にとってこれ以上無いプログラムでした。

 

だからプロコフィエフの音楽だって好きになりそうですが、それよりもショスタコーヴィチという聴き方をしてきました。

 

このレコードも買ったのは随分昔のことで、それ以来聴いたのは多分2回だけ。ほとんど手に取ることが無かったということは余り印象が良く無かったからでしょう。

 

改めてじっくり聴いてみたいと思います。

 

第1楽章、モデラート。とてもさっぱりしています。楽想自体は重々しい雰囲気を持っていますが、とにかくあっさりした響きです。

 

第2楽章、アレグレット。とても軽くそしてよく流れる音楽。これを聴いていて「古典交響曲」を思い出しました。プロコフィエフの最初の交響曲ですが、ここでプロコフィエフはあえてハイドン風の音楽を書いていました。

 

マルティノン指揮のパリ音楽院管弦楽団の輝かしい響きがいい。

 

第3楽章、アンダンテ・エスプレシーヴォ。ショスタコーヴィチならここでグッと迫ってくるような音楽を聴かせる所ですが、プロコフィエフは全然違いますね。何気ない風景描写でもしているかのような自然な雰囲気を感じます。

 

第4楽章、ヴィヴァーチェ。交響曲のフィナーレでヴィヴァーチェという速度記号は珍しいのでは無いでしょうか。アレグロとプレストの中間の速さを示すようです。

ますます「古典交響曲」のようです。常に動き回っているような音楽。中間部で突然表情を変え、ゆったりとした音楽になりますが、一瞬コマネズミのような音楽が戻って終わり。

 

プロコフィエフは生涯ソビエトから離れなかったショスタコーヴィチと違って、早くから西洋圏に出て行き、世界恐慌が始まると祖国に戻ってくるといった、ちょっとご都合主義を感じる人です。

 

だから音楽にロシア臭が余りしないのも無理はありません。

 

🔶「ロシア序曲」

 

この曲は1936年ソビエトに戻る時の手土産代わりに書いています。プロコフィエフはスターリンとも上手くやっていける、つまり自分の音楽は認められるという思いで帰国していますので意識してロシア風の音楽を書いた訳ですが、どこか楽天的な響きがするのはプロコフィエフの希望の表れなのかも知れません。

 

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このレコード、プロコフィエフの音楽は今ひとつピンと来ませんでしたが、1957年のデッカによる録音はとてもクリアーで良い音がします。