ジャン・マルティノンはパリ管弦楽団と2つの記念碑的なアルバムを残しました。「ドビュッシー管弦楽曲全集」と「ラヴェル管弦楽曲全集」です。
今回はラヴェルの全集から「左手のためのピアノ協奏曲」と「ピアノ協奏曲ト短調」が入った一枚を紹介します。
🔶「左手のためのピアノ協奏曲」
この曲は戦争で右手を失ったピアニストの依頼で書かれました。ラヴェルはこの曲について”左手だけという薄い印象を与えてはいけない”と言っています。
単一楽章構成ですが、実質3つの部分に分かれ導入部は静かで深い響きから始まります。確かにピアノが入って来ても左手だけという不自由さを感じさせません。
それどころか、中音域から低音域を主体にした音楽は、初めからそれを狙ったかのようにさえ感じます。オーケストラがピアノの音色不足を補って活躍します。
ピアノはアルド・チッコリーニ。
🔶「ピアノ協奏曲ト短調」
やっぱりラヴェルのピアノ協奏曲というとこちらです。
ムチの一振りから始まる印象的な出だし。ブルース風のフレーズ。ピアノも勿論能力全開です。
3つの楽章から出来ていて、出来としては第1楽章が突出していると思います。ラヴェルらしいオシャレな協奏曲です。
第1楽章だけでもと探しましたが、このレコードを音源にしたものが見つかりません。せめて同じフラン人コンビとオケということで、サンソン・フランソワのピアノ、クリュイタンス/パリ音楽院管弦楽団で。