今回は、バッハの「ヴァイオリン・ソナタ全曲集」のレコードです。

 

 

バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」が余りにも素晴らしかったので、「ヴァイオリン・ソナタ」はどうなんだろうと、買ったものです。

 

レオニード・コーガンのヴァイオリン、リヒターのチェンバロといかにも狙って買ったような組み合わせですが、実は例によって値段で決めたものです。

 

🔶レオニード・コーガン

 

名前だけは知っていたヴァイオリンの名手の一人。

 

弟子の一人、佐藤陽子がレッスン中に”こうやって弾くのだ”とお手本を見せられた時、コーガンの持つヴァイオリンの指板が全て指で埋まっているのを目の当たりにして驚いたとか、来日の都度、ある日本のオーディオメーカーを訪れ、”これとこれ”と言う感じでいくつものオーディオ製品をソ連に持ち帰った(多分知人に売りつけるため)とか、演奏よりも裏話の方を良く知っているヴァイオリニストです。

 

リヒターはもうミュンヘン・バッハを指揮した「マタイ受難曲」とかよく聴いています。

 

🔶バッハの「ヴァイオリン・ソナタ」

 

曲は「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」と違ってヴァイオリンのパートは旋律重視で、ヴァイオリンという楽器を考えた時、こちらの方がヴァイオリンらしさが表れてると思います。

 

バッハの時代、こういったソナタはソロ楽器と通奏低音という組み合わせが普通だったとのことですが、バッハはチェンバロを単なる通奏低音用としてではなく活躍の場を与えています。ただヴァイオリンが主人公であることに変わりはありません。

 

バッハの「ヴァイオリン・ソナタ」は全6曲あります。

 

🔶珈琲を飲みながら聴きたい

 

6曲とも緩ー急ー緩ー急という楽章の並びになっています。ただ「第6番」だけは5つの楽章があって、最後は緩”になります。

 

コーガンはオイストラフの少し後の人で、早熟の天才でした。少年の頃聴いたハイフェッツの演奏に多大な影響を受けています。

 

そのヴァイオリンの音色は豊ながらしっかりとした芯を持ち、どこまでも伸びていきそうな、つまり素晴らしい音色を持ちます。控えめなヴィヴラートはバッハだからでしょうか、他の演奏を聴いたことが無いのでそこはよく分かりませんが、とてもバッハに似合った弾き方だと感じます。

 

「第1番」の素晴らしいアダージョから、この二枚組のアルバムは「第3番」「第2番」(ここだけ番号順では無い)、「第4番」「第5番」「第6番」と続いていきます。

 

総じて、各曲とも最初のゆっくりしたテンポの楽章が特に素晴らしいと感じました。

 

珈琲をよく飲みますが、今まで全自動のコーヒーメーカーに買ってきた珈琲の粉を入れて飲んでいました。最近あるドラマを観て面白そうだと、ハンドドリップのための道具を揃えました。

 

そうやって淹れた珈琲をゆっくり飲みながら、ゆったりとした気分で聴く「ヴァイオリン・ソナタ」はまた格別です。

 

「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」はヴァイオリンという楽器を超えた音楽そのもののような作品ですが、「ヴァイオリン・ソナタ」は正にヴァイオリンのために書かれ、その多彩な表情には驚かされます。

 

また一つバッハの名曲を知りました。

 

参考までに、「第1番」を載せておきます。