今回は、ケンペ/ミュンヘン・フィルのブルックナー「交響曲第5番」のレコード。

 

 

🔶ケンペのブルックナー

 

ケンペは前回書いたような熱心なブルックナー信者にも許容されていた指揮者だっと思います。このレコードの解説はあのU氏が書いています。(私はもうあの自己陶酔したような文章は読みませんが)

 

さて、演奏はどうでしょうか・

 

🔶改めて聴いてみて

 

第一楽章始まるともうショルティ/シカゴとはまるで違う音楽ということが聴いて取れます。ただ何かありそうでちょっと消化不良気味。

 

第二楽章は、素晴らしいです。ショルティのように”寂しさ”だけでは無い”寂寥感”を漂わせながら”憧れ”を感じさせます。これは私がこの楽章で聴きたい全てです。ミュンヘン・フィルの輝かしい木管が素晴らしい。

 

第3楽章は起伏の大きい演奏になっていてミュンヘン・フィルの深々とした響きが素晴らしい。金管のフレーズ一つとってもその切り上げ方とか一つ一つのフレーズの扱いに目が行き届いているのが感じられます。途中、弦楽器が駆け上がっていく所が好きなのですが、ここはもうちょっとはっきり聞かせて欲しかった。(といってもここをそこまで強調した演奏は知りませんが)

 

第4楽章はグッと腰を落とした感じで始まります。やはり振幅の大きさを感じますが、静かな部分は本当に美しい響きだと思います。

 

ケンペではオーケストラは違いますが、「ローエングリン」の第一幕への前奏曲で素晴らしく美しい弱音を聴かせてくれていますが、その辺りの秘訣を得ているのかも知れません。

 

素晴らしいブルックナーだと思いますが、欲を言えば最後の盛り上がりなどこれがウィーン・フィルだったらと思わずにはいられません。

 

ケンペは50代で海水浴中に亡くなってしまっていますが、生きていればウィーンの音楽監督の地位だって手に入れていたかも知れません。

 

第3楽章の終盤から第4楽章です。