今回は、サヴァリッシュ/バイエルン国立管弦楽団によるバルトークの歌劇「青ひげ公の城」のレコードです。
🔶オペラに苦手意識のある方には打ってつけの選曲
クラシックをよく聴いている方でも、「どうもオペラは」と苦手意識のある方は結構多いのではないかと思います。私がまさにそうです。
それでも何かで「オペラ」の素晴らしさを読んだりすると、「聴いてみようかな」という思いが頭をもたげてきます。そうやって何度トライして挫折してきたことか。
素晴らしいからとモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」などに手を出したり、ワーグナーの巨大な楽劇を聴き始めたりするのは、賢い選択とは言えません。
まず、長いから。最初は短いものから選ぶべきです。
そうやって見渡すとレコード2枚程度に収まるものは結構あります。そうやって選んで聴いて面白かったのはリヒャルト・シュトラウスの「サロメ」、そしてプッチーニの「ラ・ボエーム」。
そして今回紹介するバルトークの「青ひげ公の城」。何とレコード一枚に収まります。
🔶バルトーク「青ひげ公の城」
バルトークがバラージュの書いた台本に音楽を付けたものですが、物語の進行が単純で分かりやすいのも最初のオペラとしていいかと思います。
モーツァルトのように大人数が出てくるようなものは(それはそれで楽しいのですが)、荒筋が頭に入っていないと何をやっているのかさっぱり分からなくなります。
とにかく陰鬱な城に住む”青ひげ公”を慕って家族を捨て城に来た、一人の若い女性(ユディット)に城内を案内していくだけの話です。ユディットは青ひげ公との結婚を望みますが、何故か青ひげ公は結婚には消極的でユディットに諦めるよう促しますが、ユディットは頑として聞き入れません。
城内に入ったユディットは鍵がかけられ固く閉ざされた7つの扉を発見し、その鍵を求め順に扉を開け、その中のものを見ていきます。
第一の扉は「拷問部屋」、ユディットは壁に血の跡を見る。
第二の扉は「武器庫」、全ての武器に血が付いている。
第3の扉は「宝物庫」、宝物には血が付いている。
第4の扉は「秘密の庭園」、白い薔薇には血がつき、土にも血が染み込んでいる。「
第5の扉は「広大な領地を望むバルコニー」、雲から赤い血の影が落ちている。
第6の扉は「涙の湖」、そこは不気味なほどの静けさ。
第7の扉は「中から3人の妻が列をなして現れる」、それぞれ「夜明け」「真昼」「夕暮れ」を支配している。ユディットは「真夜中」の4人目として扉の向こうに消える。
なんとも不気味な話ですが、バルトークの音楽描写は素晴らしく、一例として「第5の扉」の場面を聴いてみて下さい。
サヴァリッシュのレコードでは青ひげ公をフィッシャー=ディースカウ、ユディットをユリア・ヴァラディが歌っていてそれは見事なのですが、ここではフィルム撮影された動画があったのでそれを観ましょう。
そしていよいよ7つ目の扉が開かれます。
一変にこのオペラが好きになり、その後ブーレーズ盤、ショルティ盤を買い足したほどです。