今回はベームがウィーン・フィルを指揮したブルックナーの「交響曲第4番」のレコードです。
🔶ベームのブルックナー「交響曲第4番」
前回に引き続き、ブルックナーの交響曲ですが、前回のマゼールの「第5番」が少々消化不良気味だったので、一服の清涼剤のつもりです。
この演奏の素晴らしさをどう書いたらいいのか。
はっきりしていることは、どんな些細なフレーズにもベームの意志が働いていること。漫然と譜面を音にしただけのような箇所は一つもありません。相当徹底したリハーサルがあったんだと思います。
吉田秀和さんがブルックナーの魅力をとても分かりやすく表現しています。うろ覚えですが「ベートーヴェンは曲の頂点に向かって緊張感を増していくが、ブルックナーはそのクライマックスで広々とした感覚を覚える」、大体こんな内容だったと思います。
確かにそうなんですが、ブルックナーもこの「堕4番」あたりまでは、ベートヴェン風の要素を多分に残していると思います。そしてベームは全くベートーヴェン風の引き締まった演奏を聴かせます。
第3楽章はそのいい例で、彫りが深いというか抉り込むようなクレッシェンドの素晴らしいこと。
第3楽章の終わりから第4楽章を最後までお聴きください。