今回はマゼールがウィーン・フィルを指揮したブルックナーの「交響曲第5番」のレコードです。

 

 

🔶ブルックナーの「交響曲」

 

ブルックナーの「交響曲」は初めて聴いた時からずっと好きです。

 

学生時代、全くの楽器素人でしたが学生オケで「交響曲第4番」を演奏したことがあって、第2ヴァイオリンを担当したのですが、実際に弾いてみてそれまでの印象が全く変わった経験があります。

 

それまでも好きで聴いてはいましたが、もっぱらコラールのような金管楽器の響きやどんどん興奮を高めていく所に魅力があるんだと思っていたのですが、弦楽部の絶妙な響かせ方に「ブルックナーの魅力は弦にある」とまで思ったものです。

 

「百聞は一見にしかず」と言いますが、単に聴くのと演奏するというのは確かに違います。

 

ブルックナーの「交響曲第5番」はいくつかのレコードやCDを買いましたが、ヨッフムとコンセルヘボウのライブ録音のCDを買ったのが最後、それが私にとってベストだったから。

 

「ブルックナーはやっぱりウィーン・フィルが最高だ」という思い込みがあって、このレコードもそれで買ったようなものでした。

 

しかし、買った後何回聴いたのか、もしかしたら買った時の一回だけだったかも知れません。

 

🔶マゼールのブルックナー

 

このレコードでマゼールは色々凝ったことをやっていますが、それが上べだけの効果にしかなっていないのは何故でしょうか。

 

ブルックナーのレコードで感心した一枚にベーム/ウィーン・フィルの「交響曲第4番」があります。

 

ベームはブルックナーをベートーヴェンの交響曲を演奏するように引き締まった演奏をさせていますが、それがウィーン・フィルの美音と絶妙なバランスでとても良かった。

 

もちろんベームのやり方が唯一ではないのですが、とにかく指揮者の楽曲に対する確固たる信念の表れでした。マゼールにはその楽曲に対する確固たる信念という部分でどうも不足を感じてしまいます。こうしたら感動的に響くだろう、みたいな思い付きの連続のように感じてしまったのです。

 

そう思い始めると、ブルックナーはただ単に長い音楽だなあというだけに終始してしまいます。

 

手持ちのレコード、CDを全部聴き直すという企画なので、とりあえず最後まで聴くことは聴きましたが、これ以上書くのはやめにします。