今回はカラヤン/ベルリン・フィルによるヴェルディの「レクイエム」のレコードです。

 

 

豪華なボックス仕様になっています。

 

🔶ヴェルディ「レクイエム」

 

ヴェルディがイタリアの文豪マンゾーニを追悼する目的で書いた曲で、教会のミサの形式に沿って書いたので表面上は確かにミサ曲なのですが、初演当時から今も、これをミサ曲として考える人はいないと思います。

 

完全にコンサート・ピースです。

 

しかし、これは単にヴェルディだけの話ではなく、モーツァルト、ブラームス、そしてフォーレも、その「レクイエム」は誰かの死を弔うためにさえ書かれていないのですから。

 

初演時、余りにもオペラティックなことに対し批判はされました。しかし恐らくヴェルディはそんな事は百も承知だったでしょう。

 

ヴェルディは沢山のオペラを書きましたが、恐らくレクイエムのような音楽を書きたくてしょうがなかったのだと思います。この「レクイエム」の前にもヴェルディの発案でイタリアの著名作曲家合同で「ロッシーニのための大レクイエム」を書こうと企画したことがありました。ヴェルディ自身は自分の担当分を早々に書き上げてしまいましたが、他の12人の筆が進まないうちに状況が変わり計画は頓挫しています。

 

で、今度はマンゾーニの死という絶好の機会を得た訳です。ヴェルディは絶好のチャンスとばかりに「レクイエム」を書き上げます。

 

ロッシーニのために書いた「リベラ・メ」をこの曲に転用していることからの、「レクイエム」という形式への執着の強さが感じられます。

 

ミレルラ・フレーに(ソプラノ)、クリスタ・ルートヴィヒ(アルト)、カルロ・コスッタ(テノール)、ニコライ・ギャウロフ(バス)を率いたカラヤンとベルリン・フィルの演奏の見事さは書くまでもないでしょう。

 

youtubeにこのレコード(1972年録音)の音源が無く、」同じベルリン・フィルながら歌手陣が違う1962年のザルツブルグでのライブ音源がありましたので、載せておきます。

 

80分の長さですが、目まぐるしく表情を変える音楽に翻弄されてみて下さい。歌手が何を歌っているのか分からないままという事に不足を感じるかもしれませんが、昔ながらのテキストを歌っているに過ぎませんのでとりあえず歌詞は無視してもいいかと思います。