いきなりですが、少し聴いてみて下さい。
ヴェルディのオペラ「アイーダ」の冒頭部分ですが、前奏曲から地続きのように本編に入っていくので、聴き手は自然に本編に導かれていきます。
ワーグナーのオペラや楽劇も素晴らしいのですが、その序曲や前奏曲が充実しているため序曲や前奏曲だけでもうお腹一杯という感じがしてしまいます。
今回はオペラ入門に最適なヴェルディの「アイーダ」を取り上げます。
🔶ヴェルディ、オペラ「アイーダ」
「アイーダ」がオペラ入門曲にピッタリだという理由は、
・台本が単純で分かりやすい
・音楽的に聴きどころ満載で、2時間半の長さを感じさせない工夫
・テノールやソプラノ歌手の喚き散らすようなアリアが無い
説明します。
🔶台本が単純で分かりやすい
このオペラの舞台は古代エジプト。オペラの開始早々に主要な登場人物、若き将軍ラダメス、王妃アムネリス、エチオペアの奴隷アイーダ(実はエチオピア王女)の3人の関係を分かりやすく説明してくれます。
3人の探り合いをお楽しみ下さい。それにしてもヴェルディの付けた音楽の見事なこと。
敗戦によってアイーダの父親アモナズロも奴隷とされていますが、エチオピア王という身分を隠しています。敵将ラダメスが自分の娘を愛していることを知ったアモナズロはアイーダにラダメスからエジプト軍の進軍経路を聞き出すよう説得します。
音楽的な頂点は別にありますが、心理的な頂点がここにあります。
次に聴いていただくのは、エジプトの勝利を祝う祝宴準備中の宮殿内でアムネリスはラダメスは戦死したと嘘を伝えアイーダの反応を見ます。
全曲を通して、このように登場人物の心持ちが説明的な歌詞で歌われます。
🔶音楽的聴きどころ満載で、2時間半の長さを感じさせない工夫
このオペラは壮麗な金管のファンファーレから弦楽の精妙な響きまで、変化に富みます。次に聴いてもらうのは、第1幕第2場の神殿での勝利を祈願する儀式のシーン。
このような精妙な音楽も素敵なのですが、「アイーダ」は何といってもその豪華で壮麗な響きに魅力があります。
最大のクライマックスシーンは、先ほどのアムネリスとアイーダの対決シーンに続いて訪れます。
後半に出てくるサッカーの試合で聴き慣れたファンファーレが「凱旋行進曲」です。ちょっとだけ補足しておくと、途中で踊り(バレエ)のシーンが挟まれますが、これはオペラにはバレエを入れないと観客が満足しないという、今考えれば変な慣わしがあってヴェルディもそれに従っています。
このオペラは全4幕が7つの場に分かれていますが、4番目の場、つまり真ん中に当たるところに音楽的に最高潮に盛り上がりが置かれています。その後音楽は沈静化していきますが、その分話はどんどんドラマティックになっていきます。
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いかがでしたでしょうか。
今回は分かりやすい舞台動画で紹介しましたが、youtubeではカラヤン/ウィーン・フィルの旧録に対訳を付けたものがあります。スタジオ録音だけに演奏は一層精妙さと豪華さが味わえるのでおすすめです。
付け加えると「オペラ」の主人公の設定年齢と歌手の年齢のアンマッチが気になるものがありますが、この「アイーダ」も設定はラダメス24歳、アイーダ20歳ですので、音だけで聴いた方がいいかとも思います。
「オペラ」の世界もまた広いですが、機会があれば色々紹介していきたいと思っています。