クラシックで楽器の花形と言えばピアノ、次いでヴァイオリンという所でしょうか。

 

今回はヴァイオリンのための曲を聴いてみたいと思います。「ヴァイオリン協奏曲」は前にチャイコフスキーのものを聴いていますので、ここでは独奏やソナタを取り上げたいと思います。

 

🔶パガニーニ「カプリース第24番」

 

パガニーニは1840年に亡くなっているヴァイオリニストであり作曲家ですので、現在その演奏を聴いたという人はいるはずもありませんが、その超絶技巧は今でも語り継がれています。

 

また、残された楽曲からその一端を知ることができます。

 

「かプリース」という無伴奏ヴァイオリンのための曲集があって、「第1番」から「第24番」まであります。

 

その中で人気の高い「第24番」を聴いてみましょう。曲の後半で左指で弦を押さえながら同時に左指で弦を弾く様子が分かりますが、これはパガニーニが生み出した技法です。

 

ヴァイオリンで考えられる技法はパガニーニが極め尽くしてしまいました。それ以降新たに生まれたのはバルトークが弦を上方に摘んで指板にぶつけるという変則的な”バルトーク・ピチカート”しかありません。

 

ヴァイオリンはヒラリー・ハーンで、この演奏はかなり若い頃のものです。

 

 

🔶フランク「ヴァイオリン・ソナタ」

 

「ピアノ・ソナタ」はピアノだけで弾かれますが、「ヴァイオリン・ソナタ」はヴァイオリンとピアノで弾かれます。

 

というもの元々「ヴァイオリン・ソナタ」はヴァイオリン独奏付きのピアノ曲という形だったからです。

 

それをベートーヴェンが自作の「ヴァイオリン・ソナタ」でヴァイオリンもピアノと対等の位置に引き上げます。

 

フランクの「ヴァイオリン・ソナタ」もお互いが対等の立場のニ重奏曲になっています。

 

そして私が知る限りこの曲は「ヴァイオリン・ソナタ」の最高傑作です。そしてこの曲にはベストと言える演奏があり、そのため曲の素晴らしさが一層輝きます。

 

フランクは友人の結婚のお祝いにこの曲を贈ったそうですが、似たような話としてワーグナーは奥さんの誕生日のお祝いに「ジークフリート牧歌」という素晴らしい曲を書いています。才能というのは恐ろしいものです。

 

ヴァイオリンのオイストラフ、ピアノのリヒテル、ソビエトを代表していた2大巨匠によるライブ録音です。30分があっという間に過ぎてしまいます。

 

 

🔶バッハ「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番」から”シャコンヌ”

 

ヴァイオリンのための独奏曲というとバッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタととパルティータ集」を外すことは出来ません。

 

最後にこれを聴きましょう。

 

「ソナタ」と「パルティータ」それぞれ3曲ずつ計6曲の曲集ですが、それぞれ4から7つの楽章を持ちます。

 

「パルティータ」は各楽章が舞曲の形式をもつ組曲となっていますが、「第2番」だけはその最後に”シャコンヌ”という長大な変奏曲が置かれ、パルティータの3曲を並べた時、扇の要のような位置付けがされているのはバッハの見事な工夫です。

 

”バッハは一丁のヴァイオリンで宇宙を描いた”と言われるのがこの”シャコンヌ”です。

 

この曲集は著名なヴァイオリストがこぞって挑戦し録音している名曲ですが、その中にあってシェリングはこの曲の演奏の規範となるような名演です。

 

ここでは”シャコンヌ”だけを聴きますが、一度は全6曲を聴いておく価値があります。