コリン・デイヴィスはつい最近もボストン響とのシベリウスを取り上げたばかりですが、やっぱり好きなんですね。

 

”好き”と書きましたが、指揮者の中で誰が一番好きかと問われれば正直カラヤン一択です。カラヤンに関しては好きというか興味があり過ぎて、録音に限らず雑多な情報も余すことなく取り込んで来たので、ただ指揮者というだけでなくカラヤンの人生そのものに憧れのようなものを抱いていますので、もう別格です。

 

コリン・デイヴィスは演奏だけ聴いて好きな指揮者の筆頭という所でしょうか。聴いた録音の全てが素晴らし過ぎました。

 

今回の”私の視聴室”では、手持ちの彼の録音をいくつか聴いていきたいと思います。

 

🔶ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番”皇帝”」 

           アラウ(p)、ドレスデン・シュターツカペレ

 

 

私が聴いた色々な「ピアノ協奏曲」の録音の中でも、ブレンデルとアバド/ベルリン・フィルのブラームス「ピアノ協奏曲第1番」と双璧。

 

ソリスト、指揮者、オーケストラ、録音の4拍子が揃った素晴らしい録音。特にフィリップスの録音の素晴らしさは特筆に値します。

 

指揮者が大河のような演奏でピアニストをサポートしますが、ドレスデンのオケの音がまたいい。文句なしです。

 

アラウのどこか派手さを抑えた輝きのあるピアノの音も好きです。

 

久しぶりに聴きましたが、もう満腹状態です。

 

🔶ストラヴィンスキー「火の鳥」 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

 

 

これはレコードです。

 

最近は寒いのでレコードやCDを置いてある部屋に入るのが嫌なのと、手軽さからもっぱらPCに溜め込んだものや、youtubeでばかり聴いているので、こんな企画でも立てないとレコードを聴くこともありません。

 

最初に聴いた「皇帝」は、この記事を書くのに触りだけ聴いて終わろうと思っていましたが、気が付いたら全曲通して聴いてしまいました。

 

今日はおりしも将棋の王将戦第3局の2日目。藤井聡太王将と菅井竜也八段との間で戦いが繰り広げられていて元々それに付き合うつもりでしたので、長くなりそうな戦いの伴奏として、コリン・デイヴィスの方もじっくり聴いて行く覚悟ができました。

 

さて、「火の鳥」。

 

ストラヴィンスキーともなると、もう音楽としては素材としての提供にしか過ぎないと思われます。

 

その分、演奏に対する受容の範囲が広がります。

 

ただ、組曲版は頂けません。全曲を知ってしまったら組曲では消化不良を起こします。

 

この曲の手持ちはアンセルメ、デュトワ、インバルにこのコリン・デイヴィスといった所ですが、それぞれに良さがあります。youtubeで聴いたゲルギエフも良かったですね。

 

ただ録音を加味すると、やっぱりコリン・デイヴィスですかね。

 

このレコードはコンセルトヘボウの響きを味わうものと言えますが、それをうまく引き出しているのは指揮者です。

 

ますます指揮者への好感度が上がります。

 

このレコードでは、素晴らしいホールの良い席で聴いているような充足感が味わえます。

 

こういうレコードを聞いてしまうとハイエンドのオーディオ装置が欲しくなってしまうのが唯一の欠点です。

 

🔶モーツァルト「ヴァイオリン協奏曲第5番”トルコ風”」

                 グリュミオー(vn)、ロンドン交響楽団

 

 

このCDは父親が遺した一枚。趣味には惜しまずお金をかけた人だったのですが、こういうレコードやCDを遺してくれたのは本当にありがたい。

 

今回コリン・デイヴィスの指揮した手持ちのレコードやCDを調べてみるとこんなものが結構ありましたが、前述した事情もあってその多くが未聴のままです。

 

これもその一枚。

 

グリュミオーはヴュータンの「ヴァイオリン協奏曲第4番」のレコードで初めて聴いた時から、その繊細な輝かしい音に魅了されてしまいました。

 

このCDには「第5番」の他に「第3番」と「協奏交響曲」が収録されていて、CDをかけるとまず「第3番」から始まります。

 

聴く前はそこで「第5番」まで飛ばそうと思ってたのですが、始まってしまうととてもそうは行かなくなりました。

 

オーケストラはロンドン交響楽団ですが、相手がどのオーケストラであろうとコリン・デイヴィスらしい深く重厚が響きになってしまうようです。

 

最近は演奏がどうのこうのという前に、その音そのものに興味が沸くようになっていますので、こんな音を聴かされたら止めることは出来ません。

 

ロンドン交響楽団はアバドとの録音なので馴染みはありますが、こんな響きが出せるんだっけという驚き。これもフィリップス録音の魔術なのでしょうか。

 

グリュミオーの繊細ながら、どこまでも響き渡るようなヴァイオリンの音にはもう聴きいるしかありません。

 

ところでこのCDには興味深い注意書きがされています。

 

「おことわり:このCDは80分を超える収録時間のため、一部のピレーやーでは再生できないことがあります。ご了承下さい。」

 

確かにCDの規格を決めるのに、カラヤンのベートーヴェンの「第9」が収録できる時間ということで、確か74分とかが選ばれたはず。

 

レコード(LP)も廉価で提供するため、長時間収録のものが発売されるようになった過去がありますが、その分確実に音質は悪くなったものです。

 

このCDを聴いて音質劣化とは感じませんが、オリジナルと比べたら違うのかも知れません。

 

「第5番」が始まってすぐ「あれっ」と感じます。

 

オーケストラの序奏に「第3番」には無かった勢いが感じられます。やっぱり最後に「トルコ行進曲」があるからでしょうか。心なしかグリュミオーも楽しそうです。

 

 

両曲とも素晴らしい演奏だと思います。

 

🔶シューベルト「交響曲第9番”グレート”」  ボストン交響楽団

 

そろそろ家の事もやらないといけないので、今回はここで打ち止めとします。

 

そして最後に選んだのがシューベルトの最後の交響曲「グレート」です。

 

 

オーケストラは前にシベリウスが素晴らしかったボストン交響楽団。

 

この曲は「第9番」だったり「第7番」だったり「第8番」だったりとややこしいのですが、ここではレコ^どの表記に従って「第9番」とします。

 

私のような年代の者にはやっぱり「第9番」の方がしっくりきます。

 

シューベルトは未完成に終わった「第8番」から交響曲の新境地を迎えたと思います。特にこの「第9番」はそれまでにない明朗さを持った曲想もあって、その感じを強く受けます。

 

名曲だけあって、フルトヴェングラー、ワルター、ベーム、カラヤンらの素晴らしいレコードも聴いていますが、その中にあっても決して引けを取りません。というか録音への好みを加味するとトップクラスに躍り出てきます。

 

こういうレコードは可能な限り音量を上げて、その臨場感を味わいたい。

 

マンション住まいなので隣や上の部屋を気にしながらも、いつもよりちょっとボリュームを上げて聴いてみました。

 

良かったです。

 

せっかくなので「グレート」のフィナーレ(第4楽章)を載せておきます。

 

 

 

🔶(おまけ)ベルリオーズ「レクイエム」 ボストン交響楽団

 

シューベルトを最後にスピーカーの前を離れましたが、実はベルリオーズの「レクイエム」を家仕事のBGMとして流してました。

 

CDを図書館で借りてきてPCに入れておいたもの。